罹災都市借地借家臨時処理法第二条第一項但書にいう「建物を築造するについて許可を必要とする場合」とは、警察目的等のために建物を築造するについて事前に許可を要するというような場合をさすのではなく、一定の土地の境域内における建物の建築が一般的に制限されており、ただ許可があるときのみ特にその建築が許される場合を意味する。
罹災都市借地借家臨時処理法第二条第一項但書にいう「建物を築造するについて許可を必要とする場合」の意義
罹災都市借地借家臨時処理法2条
判旨
罹災都市借地借家臨時処理法2条1項但書にいう「許可を必要とする場合」とは、都市計画法等により建物の建築が一般的に制限され、許可があるときにのみ例外的に建築が可能となる場合を指す。
問題の所在(論点)
罹災都市借地借家臨時処理法2条1項但書に規定される、賃借の申出の妨げとなる「建物を築造するについて許可を必要とする場合」の意義および範囲が問題となる。
規範
罹災都市借地借家臨時処理法2条1項但書により賃借の申出が制限される「他の法令によりその土地に建物を築造するについて許可を必要とする場合」とは、単なる警察目的等のための事前許可制を指すものではない。これは、都市計画法や特別都市計画法等に基づき、一定の区域内において建物の建築が一般的に制限されており、許可があるときにのみ特にその建築が可能となる場合を意味すると解すべきである。
重要事実
上告人(賃借希望者)は、罹災都市借地借家臨時処理法2条に基づき、土地賃借の申出により賃借権を取得したと主張した。これに対し、原審は、同条1項但書を根拠に、上告人が香川県知事の許可(建物の築造許可)を得たこと、またはその申請手続中であることを主張立証していない以上、当該賃借の申出は効力を有しないとして、上告人の主張を排斥した。
あてはめ
本件において、原審は単に知事の許可がないことを理由に申出を無効としたが、当該土地がどのような法令に基づき建築制限を受けている区域であるかを明らかにしていない。同条但書が適用されるのは、都市計画上の制約等により建築が一般的に禁止・制限されている特殊な場合に限定される。したがって、単に一般法令上の警察的許可が必要な場合を含めて解釈し、その主張立証がないことのみをもって申出を無効とした原審の判断は、理由不備の違法があるといえる。
結論
罹災都市借地借家臨時処理法2条1項但書の適用範囲を限定的に解さず、具体的な制限の根拠を検討せずに賃借の申出を無効とした原判決は破棄を免れない。
実務上の射程
戦後の特殊な時限立法に関する判例であるが、法律上の「許可」が何を指すのかについて、単なる行政上の届出・許可手続一般を指すのか、それとも権利形成の前提となる建築制限の解除を指すのかという解釈手法は、現代の行政法や特別法の解釈においても参照し得る。
事件番号: 昭和27(オ)116 / 裁判年月日: 昭和29年11月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】罹災都市借地借家臨時処理法2条の適用対象とならない賃借権については、登記や地上建物の登記といった対抗要件を備えない限り、その後の土地譲受人に対して賃借権を対抗することはできない。 第1 事案の概要:上告人は、訴外D・Eから賃借した土地上の建物を、昭和20年に防空法に基づき除却され、その際借地権を放…
事件番号: 昭和27(オ)306 / 裁判年月日: 昭和29年6月17日 / 結論: 棄却
罹災都市借地借家臨時処理法第二条に基く賃借権は当然対抗力をそなえ賃借権者は、これを侵害する者に対し妨害排除を請求することができる。