本案の裁判に対する上訴と共に訴訟費用の裁判に対し不服が申立てられた場合においても、本案の裁判に対する上訴が理由のないときは、訴訟費用の裁判に対する不服の申立は許されない。
本案の裁判に対する上訴と共になされた訴訟費用の裁判に対する不服申立の適否
民訴法361条,民訴法384条(396条),民訴法384条(414条)
判旨
訴訟費用の裁判に対し、本案の裁判と共に上訴が申し立てられた場合であっても、本案に対する上訴が不適法または理由なしとされるときは、費用の裁判のみを不服として変更を求めることは許されない。
問題の所在(論点)
本案の裁判に対する上訴と併せてなされた訴訟費用の裁判に対する不服申し立てが、本案の上訴が理由なき場合に許されるか。民事訴訟法361条(独立した上訴の禁止)の解釈が問題となる。
規範
訴訟費用の裁判は本案の裁判に付随してなされるものであるため、これに対して独立して上訴をなすことはできない(民事訴訟法361条等)。したがって、本案の裁判とともに上訴が申し立てられた場合でも、本案に対する上訴が不適法または理由なしとして本案の裁判が変更されないときは、費用の裁判に関する不服申し立ては許されないと解すべきである。これにより、本案につき理由なき上訴をあえてすることで、実質的に費用の裁判のみを争おうとする脱法行為を阻止することができる。
重要事実
上告人は、原審の証拠取捨選択および事実認定を非難する(上告理由第1点から第6点)とともに、訴訟費用の裁判についても不服を申し立てて上告した(第7点)。しかし、本案に関する上告理由は、民事上告事件の審判の特例法に定める事由のいずれにも該当せず、採用に値しないものであった。
あてはめ
本件において、上告人が主張する本案に関する上告理由(第1点から第6点)は、裁量に属する事実認定を非難するものにすぎず、法令解釈に関する重要な主張も含まないため、採用に値しない(理由なし)。そうであれば、本案の裁判が変更される余地がない以上、これに付随する訴訟費用の裁判についても、独立してその当否を判断することは民事訴訟法361条の趣旨に反するため許されない。
結論
本案の上告が理由なきものである以上、訴訟費用の裁判に対する不服申し立ては適法な上告理由に当たらない。したがって、上告は棄却される。
実務上の射程
訴訟費用の裁判は常に本案の附随的裁判であるという性質を強調した判例である。起案上は、本案の判断が維持される場合には、訴訟費用の負担割合のみを争う上訴理由は不適法として処理されるという枠組みで用いる。
事件番号: 昭和29(オ)364 / 裁判年月日: 昭和31年3月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民事上告において、証拠の取捨や事実認定の適否を争う主張は、上告理由の制限を定めた特例法に該当せず、適法な上告理由にならない。 第1 事案の概要:上告人が原審の判断に対し、証拠の取捨選択や事実認定に誤りがあるとして上告を提起した事案。判決文には具体的な事件の内容や争点となった事実は記載されていないた…