自作農創設特別措置法による農地買収処分の取消を求める訴訟の判決で、買収令書に記載された農地の一部分について買収処分を取り消す場合は、判決主文をもつて取り消す区域を明確にすることを要する。
農地買収令書に記載された農地の一部についてその区域を明確にしないで買収処分を取り消した判決の適否
民訴法191条
判旨
行政処分の取消判決において、処分の一部を取り消す場合には、判決主文によって取り消す区域や範囲を明確に特定しなければならない。
問題の所在(論点)
行政処分の一部を取り消す判決において、主文における取消対象の特定はどの程度必要か。特に、面積等の概括的な表示のみで足りるか、あるいは具体的な区域の特定まで必要かが問題となる。
規範
取消判決によって処分の効力が消滅し、権利関係の変動(所有権の復帰等)が生じる以上、判決主文において取り消される対象範囲は、第三者からも客観的に判別できる程度に明確に特定されていなければならない。
重要事実
自作農創設特別措置法に基づき農地の買収処分を受けた者が、その取消しを求めた事案。原審は、買収令書に記載された農地のうち、元小作人らから返還を受けて自作してきた「合計約二反歩」の部分について買収処分を取り消す旨の主文を言い渡した。しかし、当該主文には面積の記載はあるものの、広大な一筆の土地の中のどの具体的な区域を指すのかが明記されていなかった。
あてはめ
本件では、取り消される面積は約二反歩と示されているが、その具体的な場所(区域)が判決書自体からは不明である。当事者間において事実上明白であったとしても、判決が確定すれば買収による所有権移転の効力が消滅するという法的効果が生じるため、公示の観点からも対象が明確である必要がある。したがって、区域を明確にしないまま一部を取り消した原判決は違法であると評価される。
結論
一部取消判決の主文は、取り消す区域を明確に判示する必要がある。区域の特定を欠いた原判決は違法として破棄を免れず、詳細を確定させるため差戻しを要する。
実務上の射程
行政訴訟における取消判決の主文の特定度に関する基準を示す。一部取消しを求める場合、訴状の請求の趣旨段階から図面等を用いて対象範囲を厳密に特定すべき実務上の指針となる。
事件番号: 昭和25(オ)119 / 裁判年月日: 昭和26年3月8日 / 結論: 棄却
買収農地は、事実上特定されているのみでなく、買収令書で特定されていることを要する。
事件番号: 昭和25(オ)220 / 裁判年月日: 昭和27年1月25日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法附則第二項によつて買収計画が定められ、その後右附則第二項が削除され、同法第六条の二ないし五が加えられた場合において、裁判所が買収計画の当否を判断するについては、附則第二項によらなければならない。