一 国選弁護人の選任に基く法律関係については、民法委任の規定を適用すべきものではない。 二 国選弁護人は、裁判所の支給する旅費、日当、宿泊料及び報酬以外に、別に費用の請求をすることはできない。
一 国選弁護人と民法委任の規定の適用の有無 二 国選弁護人と費用償還請求権
民法643条,民法650条,刑訴法38条2項,刑事訴訟費用法7条
判旨
国選弁護人の選任には民法の委任規定は適用されず、裁判所が決定する報酬額に必要経費も含まれるため、報酬以外に別途費用を請求することはできない。
問題の所在(論点)
国選弁護人と国との法律関係に民法上の委任規定が適用されるか。また、裁判所が決定する報酬以外に、国選弁護人が費用償還請求を行うことができるか。
規範
国選弁護人の選任は公法上の制度であり、民法上の委任規定は適用されない。国選弁護人の報酬額は、弁護活動に要する費用等の一切を考慮して裁判所が相当と認める額を決定すべきものであり、国選弁護人は決定された報酬以外に費用を請求する権利を有しない。
重要事実
上告人は国選弁護人に選任され、弁護活動を行った。上告人は、裁判所が決定した報酬額とは別に、弁護活動に要した費用等の支払いを求めて提訴したが、原審はこれを認めなかったため、上告人が最高裁に上告した事案である。
あてはめ
国選弁護制度は刑事司法上の必要性に基づく公的な性格を有する。したがって、私人間を前提とした民法の委任に関する規定を適用すべきではない。裁判所が報酬額を決定するにあたっては、弁護人が要するであろう諸費用をすべて考慮した上で「相当な額」を算出するものと解される。ゆえに、既に決定された報酬とは別に実費等の費用を個別に請求することは、制度の枠組みに反するといえる。
結論
国選弁護人は、裁判所が決定した報酬以外に費用を請求することはできない。上告を棄却する。
実務上の射程
国選弁護人の報酬等の請求権の根拠が公法的な決定に基づくものであることを示した。司法試験においては、国選弁護制度の性質や、弁護人の権利義務の法的根拠を論じる際の基礎となる。また、私法上の委任概念が公法上の職務にそのまま妥当しないことを示す例としても活用できる。
事件番号: 昭和26(あ)2946 / 裁判年月日: 昭和27年8月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】国選弁護人の報酬等の訴訟費用を被告人に負担させることは、憲法37条3項の規定に違反しない。 第1 事案の概要:被告人に対し、刑事訴訟の判決において、国選弁護人に給すべき報酬等を訴訟費用として負担させることが命じられた。被告人側は、このような費用の負担命令は、国選弁護人の費用を国が負担すべきとする憲…