村農地委員会の定めた農地買収計画につき県農地委員会に訴願が提起された後村農地委員会が右計画を取り消した場合において、右取消の効果は、その後訴願棄却の裁決があつても影響を被ることはない。
訴願の目的となつた処分が原処分庁により取り消された後になされた訴願棄却の裁決の右取消の効果に及ぼす影響
訴願法16条
判旨
行政処分が上級庁の裁決によって棄却される前に、処分庁によって既に取り消されていた場合、その後の棄却裁決は既になされた取消の効力に影響を及ぼさない。
問題の所在(論点)
行政処分に対する不服申立ての係属中に、当該処分が別途取り消されて消滅した場合において、その後になされた不服申立て棄却裁決が取消の効力に影響を及ぼすか。
規範
行政処分に対する不服申立てにつき、上級行政庁が棄却の裁決を下す前に、当該処分が権限ある機関によって既に取り消されその効力を失っている場合には、その後に下された棄却裁決は、先行する取消処分の効力を妨げるものではない。
重要事実
D農地委員会が行った第一回目の買収計画に対し不服申立て(訴願)がなされていたが、上級庁であるE農地委員会が当該不服申立てを棄却する裁決を下すよりも前に、当該買収計画自体がすでに取り消されていた。その後、不服申立てを棄却する旨の裁決がなされたため、先行する取消の効力や買収計画の存否が争点となった。
事件番号: 昭和28(オ)451 / 裁判年月日: 昭和34年1月29日 / 結論: 棄却
同一土地につき二個の買収計画が並存することは相当でなく、両計画をともに取り消した上で新たに買収計画を定むべきであるとの理由で、町農業委員会の定めた農地買収計画を取り消す旨の訴願裁決があつた場合、町農業委員会が右趣旨に従い右土地につき再度買収計画を定めることは、訴願法第一六条に違反するものではない。
あてはめ
本件における第一回目の買収計画は、上級庁であるE農地委員会が訴願棄却の裁決を行うよりも前の時点で、既に取り消されて効力を失っていた。このような状況下では、対象となる処分が既に存在しないため、その後に便宜上なされた棄却裁決によって、一度失われた処分の効力が復活したり、取消の効果が否定されたりすることはないと解される。
結論
第一回目の買収計画は既に取り消されており、その後の訴願棄却裁決は取消の効果に影響を及ぼさない。したがって、買収計画が有効に存続していることを前提とした上告人の主張は認められない。
実務上の射程
処分の消滅(取消・撤回)と不服申立ての関係を整理する際、処分が消滅した以上、不服申立ての対象が失われるため、その後の裁決は先行する消滅の効果を左右しないという「処分の存否」を重視する実務上の判断枠組みとして活用できる。
事件番号: 昭和24(オ)129 / 裁判年月日: 昭和25年11月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政庁が買収計画への異議に対し法定期間内に決定を行わず、事実上計画から除外したとしても、正式な決定がない限り買収しないことが法律上確定したとはいえず、再度同一の買収計画を立てることは直ちに違法とはならない。 第1 事案の概要:上告人は、昭和22年3月になされた農地買収計画に対し異議を申し立てた。農…
事件番号: 昭和29(オ)258 / 裁判年月日: 昭和31年3月2日 / 結論: 棄却
遡及買収指示手続に違法があつても、このため、右指示に基き定められた農地買収計画が違法となることはない。
事件番号: 昭和27(オ)846 / 裁判年月日: 昭和29年4月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】買収計画が協定を理由として取り消された場合であっても、当該協定の不履行があったときは、再度同一の対象に対して買収計画を立てることは違法ではない。 第1 事案の概要:農地の買収計画に関し、当事者間での協定(合意)が成立したことを理由として、一度は買収計画が取り消された。しかし、その後当該協定が履行さ…
事件番号: 昭和25(オ)220 / 裁判年月日: 昭和27年1月25日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法附則第二項によつて買収計画が定められ、その後右附則第二項が削除され、同法第六条の二ないし五が加えられた場合において、裁判所が買収計画の当否を判断するについては、附則第二項によらなければならない。