抵当権実行による競売手続において競落により不動産を取得した者およびその者から右不動産を買受けた者を共同被告として右不動産の所有者として抵当権の効力を否定する者から各所有権取得登記の抹消を求める訴は、訴訟の目的が共同訴訟人の全員につき合一にのみ確定すべき場合に当らない。
不動産の売渡人と買受人とに対し所有権取得登記の抹消を求める訴は必要的共同訴訟か
民訴法62条
判旨
不動産の前所有者に対する登記抹消請求と、現所有者に対する登記抹消請求は、各独立の請求であり、必要的共同訴訟の関係には立たない。したがって、一方に対する控訴が不適法であっても、他方に対する控訴の適否には直接影響せず、合一確定の必要性(民訴法40条)は認められない。
問題の所在(論点)
不動産の登記抹消請求において、前所有者(競落人)とその後継取得者(現所有者)を共同被告とする場合、両者に対する請求は必要的共同訴訟(民事訴訟法40条)に該当するか。
規範
訴訟の目的が共同訴訟人の全員につき合一にのみ確定すべき場合(必要的共同訴訟)に当たるか否かは、実体法上の管理処分権の帰属態様や、訴訟法上の要請(判決の矛盾抵触の回避の必要性)から判断される。登記抹消請求において、前所有者と現所有者を共同被告とする場合、各被告に対する請求の原因および目的は各別に判断され、実体法上の権利関係が連鎖しているとしても、当然に合一確定を要する関係には立たない。
重要事実
原告(上告人)は、所有物件の競落が無効であるとして競落人Dに対し登記抹消を求めるとともに、Dからの譲受人B2に対しても売買無効を理由に登記抹消を求めて提訴した。第一審判決後、Dが死亡したが、Dの共同相続人のうちB1のみを相手方に控訴が提起されたため、Dの承継人に対する控訴は不適法(中断中の承継手続不備)とされた。原審は、D(承継人B1)とB2に対する訴訟が合一確定を要する必要的共同訴訟であると判断し、B1に対する控訴が不適法であることを理由に、B2に対する控訴も不適法として却下した。
あてはめ
Dに対する請求は競落の無効を原因とするものであり、B2に対する請求はD・B2間の売買無効を原因とする所有権取得登記の抹消請求である。これらの請求は、原因および目的が各々独立している。たとえD・B2間の売買が無効とされる根拠が、前段階であるDの競落無効に依存するという論理的・依存的関係(反射的効力のような関係)があるに過ぎないとしても、それは各被告との間で個別に判断し得る事柄である。したがって、両者に対する請求が合一にのみ確定すべき法的必要性があるとは認められない。
結論
本件は必要的共同訴訟ではないため、前所有者の承継人に対する控訴が不適法であっても、現所有者B2に対する控訴の適否は別に判断すべきである。合一確定を理由にB2への控訴を却下した原判決は破棄されるべきである。
実務上の射程
通常共同訴訟(民訴法38条)と固有必要的共同訴訟の峻別に関する基本判例である。複数の者に登記抹消を求める際、権利関係が連動していても、管理処分権が独立していれば通常共同訴訟にすぎないことを示す。答案では「訴訟の目的の合一確定」の存否を論じる際、実体法上の管理処分権の有無を基準とする際の根拠として用いる。
事件番号: 昭和37(オ)396 / 裁判年月日: 昭和40年10月12日 / 結論: 棄却
第一審判決主文に民訴法第一九四条にいう明白な誤謬がある場合、控訴裁判所が控訴棄却の判決をするにあたり判決の理由中に理由を示し主文において右誤謬を更正しても違法ではない。
事件番号: 昭和34(オ)44 / 裁判年月日: 昭和38年3月12日 / 結論: 棄却
所有権移転登記の共有名義人を被告として当該登記の抹消登記手続を求める訴訟は、固有必要的共同訴竈訟と解すべきである。
事件番号: 昭和35(オ)881 / 裁判年月日: 昭和37年10月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】複数の者に対しそれぞれ別個の登記手続を求める訴訟は、たとえ原因が同一であっても、判決の内容を合一に確定すべき固有必要的共同訴訟には当たらない。そのため、被告ごとに事実認定が異なり、各判決の内容が互いに抵触することになっても違法ではない。 第1 事案の概要:上告人(原告)は、Dに対する所有権取得登記…