所有権移転登記の共有名義人を被告として当該登記の抹消登記手続を求める訴訟は、固有必要的共同訴竈訟と解すべきである。
必要的共同訴訟にあたる事例。
民訴法62条
判旨
不動産の共有名義人に対する所有権移転登記の抹消登記請求訴訟は、共有者全員を被告とする必要的共同訴訟(固有必要的共同訴訟)にあたる。
問題の所在(論点)
共有名義の登記に対する抹消登記請求訴訟が固有必要的共同訴訟(民事訴訟法40条1項)にあたるか。また、その場合、一部の共同訴訟人による控訴の効力は、控訴期間を徒過した他の共同訴訟人に及ぶか。
規範
特定の権利関係が共同訴訟人の全員に対して合一にのみ確定すべき場合(必要的共同訴訟)においては、共同訴訟人の一人が提起した上訴の効力は他の共同訴訟人にも及び、上訴期間を徒過した者であっても控訴人たる地位を有する。
重要事実
上告人は、本件建物について仮登記に基づく本登記を経由したが、これに対し被上告人ら(B1およびB2)が共同で競落したことを原因として共有名義の所有権移転登記を経由した。上告人は、被上告人らに対し、右共有名義の登記の抹消を求めて提訴した。第一審判決後、B2は適法に控訴したが、B1の控訴は期間徒過により却下された。原審は、本件が固有必要的共同訴訟であることを理由に、B1も控訴人たる地位を有すると判断したため、上告人がこれを不服として上告した。
事件番号: 昭和37(オ)396 / 裁判年月日: 昭和40年10月12日 / 結論: 棄却
第一審判決主文に民訴法第一九四条にいう明白な誤謬がある場合、控訴裁判所が控訴棄却の判決をするにあたり判決の理由中に理由を示し主文において右誤謬を更正しても違法ではない。
あてはめ
本件訴訟は、被上告人らが共同で競落し、共有名義で登記されている不動産について、その登記の抹消を求めるものである。共有名義の登記を抹消するためには、共有者全員についてその登記を失効させる必要があり、裁判の結果が共有者間で区々になることは許されない。したがって、本件は合一確定が必要な固有必要的共同訴訟にあたると解される。この場合、共同訴訟人の一人が適法に控訴を申し立てれば、その効力は他の共同訴訟人全員に及ぶため、期間を徒過したB1もB2の控訴によって控訴人としての地位を維持する。
結論
本件訴訟は必要的共同訴訟であり、被上告人B1は、自らの控訴が却下されたとしても、B2の控訴の効果によって控訴人たる地位を有する。
実務上の射程
共有名義の所有権移転登記の抹消請求が固有必要的共同訴訟であることを明示した重要な判例である。答案上では、共有関係の解消や登記の抹消など、管理処分権が共同に帰属する場合の訴訟形態を判断する際の根拠として用いる。また、上訴の不可分性(民訴法40条1項)を説明する際の典型例としても活用できる。
事件番号: 昭和28(オ)686 / 裁判年月日: 昭和31年9月28日 / 結論: 棄却
売買を原因として不動産の所有権移転登記を得た者、および、同人から抵当権設定登記と代物弁済契約による所有権移転請求権保全の仮登記を得た者を共同被告として、右不動産の所有者として売買の不存在を主張する者から、登記の抹消を求める訴は、訴訟の目的が共同訴訟人の全員につき合一にのみ確定すべき場合にあたらない。
事件番号: 昭和27(オ)295 / 裁判年月日: 昭和29年9月17日 / 結論: その他
抵当権実行による競売手続において競落により不動産を取得した者およびその者から右不動産を買受けた者を共同被告として右不動産の所有者として抵当権の効力を否定する者から各所有権取得登記の抹消を求める訴は、訴訟の目的が共同訴訟人の全員につき合一にのみ確定すべき場合に当らない。
事件番号: 昭和34(オ)723 / 裁判年月日: 昭和35年12月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】所有権移転請求権保全の仮登記後、本登記がなされた場合、仮登記と本登記の間になされた処分は、本登記権利者に対して効力を有しない。また、共有不動産に関する登記の回復や抹消の請求は、保存行為として各共有者が単独で行うことができる。 第1 事案の概要:D所有の建物について、Eが所有権移転請求権保全の仮登記…
事件番号: 昭和38(オ)164 / 裁判年月日: 昭和39年5月26日 / 結論: 棄却
登記義務者の意思に基づかない登記であつても、現在の実体的権利関係に符合するものであるかぎり、右意思に基づかないとして、当該登記の抹消登記請求をすることは理由がない。