農地を耕作する者が、農地の所有者たる会社の従業員または従業員であつた者で、他に職業を持ち、他に農地を耕作しておらず、本来農業を職業とする者ではなく、会社から二〇〇坪内外を無償で借受け家庭菜園として蔬菜等を栽培して来たに過ぎない場合は、当該農地は、自作農創設特別措置法第二条第二項にいう小作地に該当しない。
自作農創設特別措置法第二条第二項にいう小作地に該当しない農地の一事例
自作農創設特別措置法2条2項
判旨
自作農創設特別措置法2条2項の「耕作の業務を営む者」には副業農家も含まれるが、無償で家庭菜園として栽培するに過ぎない者はこれに当たらない。
問題の所在(論点)
自作農創設特別措置法2条2項にいう「耕作の業務を営む者」の意義、および無償の家庭菜園耕作者がこれに該当するか。
規範
自作農創設特別措置法2条2項にいう「耕作の業務を営む者」とは、専業農家に限定されず、他に職業を持ちつつ副次的に農地を耕作して収益を上げている者をも含む。しかし、同法の趣旨に照らせば、単に家庭菜園として無償で耕作を行う者は、当該規定の「耕作の業務を営む者」には該当しない。
重要事実
被上告会社の従業員または元従業員らが、会社から200坪程度の土地を無償で借り受け、家庭菜園として野菜等を栽培していた。これらの者は他に職業を持ち、他に農地を耕作しておらず、本来農業を職業とする者ではなかった。当該土地が自創法上の「小作地」に該当するかが争点となった。
あてはめ
本件耕作者らは、他に職業を有しており、本来農業を職業とする者ではない。また、被上告人から200坪内外という比較的小規模な土地を「無償」で借り受けているに過ぎない。さらに、その耕作の実態も「家庭菜園」として野菜等を栽培しているものであり、副次的にせよ収益を上げるための「業務」として営まれているとは認められない。したがって、自創法の趣旨に照らし、これらを耕作の業務を営む者と評価することはできない。
結論
本件土地の耕作者は「耕作の業務を営む者」に当たらず、本件土地は小作地には該当しない。
実務上の射程
自創法上の概念解釈に関する判例であるが、現代の農地法における「農地」の認定や「耕作」の意義を検討する際、単なる自家消費目的の趣味的な家庭菜園と、収益性を伴う業務としての農業を区別する際の判断指標として活用できる。
事件番号: 昭和29(オ)671 / 裁判年月日: 昭和30年11月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法40条の2第4項5号の「牧野」に該当するか否かは、所有者の主観的意図のみならず、行政庁の認可を受けた施業案等の客観的事実や土地の物理的状況(林業適地性)を総合して判断すべきである。 第1 事案の概要:本件土地は、買収計画当時に未だ植林は実施されていなかった。しかし、所有者は北海…
事件番号: 昭和31(オ)48 / 裁判年月日: 昭和33年5月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法2条2項にいう「耕作の業務を営む」とは、営利の目的を必要とせず、自家用農産物を栽培する場合も含まれる。 第1 事案の概要:上告人は本件農地の所有者であったが、訴外Dが上告人から本件農地を借り受けて耕作していた。DおよびEは、販売目的ではなく自家用農産物の栽培を目的として本件農地…
事件番号: 昭和27(オ)357 / 裁判年月日: 昭和28年12月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法(以下「自創法」)による不在地主の農地買収規定は、居住移転の自由を侵害せず、地主間の区別取扱いも憲法に違反しない。また、同法に基づく買収価格の定めも憲法29条3項に反しない。 第1 事案の概要:上告人は、自創法に基づき不在地主として農地を買収されたが、食糧供出の割当や肥料配給が…