財産税法による課税価格の再更正があつた場合の当初の更正の取消を求める訴は不適法である。
財産税法による課税価格の再更正があつた場合の当初の更正の取消を求める訴の適否
財産税法46条1項,財産税法46条4項
判旨
課税価格の更正後に再更正がなされた場合、当初の更正は再更正によってその全容が置き換えられ、当然に消滅する。したがって、当初の更正の取消しを求める訴えは、訴えの対象を欠く不適法なものとして却下される。
問題の所在(論点)
同一の課税対象について当初更正の後に再更正がなされた場合、当初更正の効力はどうなるか。当初更正の取消しを求める訴えの適法性が問題となる。
規範
課税庁が課税価格の更正(当初更正)をした後、再調査に基づき改めて更正(再更正)をした場合、再更正は当初更正を維持しつつ脱漏部分のみを追加するものではなく、再調査の結果に基づき課税価格の全体を決定し直すものである。したがって、再更正がなされたときは、当初更正は当然に消滅し、再更正のみが独立した行政処分として存続する。
重要事実
上告人は、昭和22年9月8日付で財産税法に基づく課税価格の更正決定(当初更正)を受けた。その後、課税庁は昭和24年2月25日付で、当初の金額を上回る課税価格の更正決定(再更正)を改めて行った。上告人は、当初更正の取消しを求めて提訴したが、原審は再更正によって当初更正は消滅したとして、訴えを不適法却下したため、上告人がこれを不服として上告した。
あてはめ
本件における昭和24年の再更正は、昭和22年の当初更正を前提として不足分を加算したものではなく、再調査により判明した全資料に基づき、改めて適正な課税価格を決定したものである。このように後になされた更正処分は、先行する更正処分を吸収し、これに取って代わる性質を有する。本件において当初更正はその全容が再更正に置き換えられたことで当然に消滅しており、取消訴訟の対象となる行政処分はもはや存在しない。なお、当初更正に対する不服(債務の存否等)については、存続している再更正に対する不服として主張すれば足り、裁判を受ける権利は保障されている。
結論
当初の更正決定は再更正によって消滅したため、当初更正の取消しを求める訴えは対象を欠き不適法である。上告棄却。
実務上の射程
更正の「吸収説」を判示した基本判例である。答案上は、増額再更正がなされた場合の訴訟の対象を特定する際に用いる。訴えの利益や処分性の議論において、当初処分が後の処分に吸収されて消滅したことを論証する根拠となる。実務上は、再更正後の不服申立ては再更正を対象とすべきことを示す。
事件番号: 昭和33(オ)691 / 裁判年月日: 昭和36年7月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】更正決定の理由附記欠如は当然無効事由ではなく、取消事由に過ぎない。また、更正決定の取消しを前提とする過納金還付請求訴訟において、当該決定が不可争力を生じている場合、裁判所はその当然無効といえる事情がない限り、公定力に基づき当該決定を有効なものとして取り扱わなければならない。 第1 事案の概要:上告…
事件番号: 昭和27(オ)455 / 裁判年月日: 昭和30年7月26日 / 結論: 棄却
所得税法(昭和二五年法律第七一号による改正前)第一〇条第二項の「仕入品の原価」とは、仕入れし得べき価格ではなく、仕入品の現実の取得原価と解すべきである。