一 不当労働行為に対する労働委員会の救済命令書には認定事実の記載がなければならない旨の中央労働委員会規則第四三条第二項の法意は、必ずしも、命令書中「認定した事実」と題する項目中に認定事実の記載がなければならないとする趣旨ではなく、主文を含む命令書の記載全体の中に主文を理由づけるに足りる事実理由の記載があれば足りる趣旨と解すべきである。 二 発言当時の状況の下で、客観的に組合活動に対する非難と組合活動を理由とする不利益取扱の暗示とを含むものと認められる発言により、組合の運営に対し影響を及ぼした事実がある以上、たとえ、発言者にこの点につき主観的認識乃至目的がなかつたとしても、なお労働組合法第七条第三号にいう組合の運営に対する介入があつたものと解すべきである。
一 不当労働行為に対する労働委員会の救済命令書には認定事実の記載を要する旨の中央労働委員会規則第四三条第二項の法意 二 客観的に組合の運営に対する介入と認められる発言につき使用者が主観的認識乃至目的を欠く場合と労働組合法第七条第三号の不当労働行為の成否。
労働組合法27条4項,労働組合法7条3号,中央労働委員会規則43条2項
判旨
労働組合法7条3号の支配介入の成立には、使用者の発言等が客観的に組合運営に影響を及ぼした事実があれば足り、使用者側に主観的な意図や目的は不要である。
問題の所在(論点)
労働組合法7条3号の「支配介入」が成立するために、使用者側に支配介入を意図する主観的な認識や目的が必要か。また、救済命令書における「認定事実」の記載の程度はどうあるべきか。
規範
労働組合法7条3号にいう「運営に対する介入」が成立するためには、客観的な状況下において、使用者の行為が組合活動に対する非難や不利益取扱いの暗示を含み、組合の運営に対し影響を及ぼした事実があれば足りる。この際、発言者(使用者)において、支配介入に関する主観的な認識ないし目的(不当労働行為意思)が存在することは要件とならない。
重要事実
会社側の者が、工場労働組合が特定の連合会に加入したことを非難し、かつ、当該加入によって組合員が従前享有していた利益を失うことになる旨を暗示する内容の演説を行った。この発言が原因となって、同組合は当該連合会から脱退するに至った。
あてはめ
本件演説は、客観的に組合活動に対する非難と組合活動を理由とする不利益取扱いの暗示を含むものと認められ、現に組合を連合会から脱退させるという運営上の影響を及ぼしている。たとえ発言者に支配介入の主観的認識や目的がなかったとしても、上記客観的事実がある以上、支配介入に該当する。また、救済命令書の形式面についても、命令書全体の記載から主文を理由付ける事実関係が認定できていれば、独立した項目としての記載が欠けていても違法ではない。
結論
本件演説は労働組合法7条3号の支配介入に該当する。また、救済命令の認定事実の記載も適法であり、上告は棄却される。
実務上の射程
支配介入の成立における「反組合的意図」の要否について、客観説(不要説)を採ったリーディングケースとして重要である。実務上、使用者の「言論の自由」との調整が問題となる場面でも、まず本判例を基準に客観的な影響の有無を検討し、その上で発言の内容・態様を評価する枠組みがとられる。
事件番号: 昭和63(行ツ)157 / 裁判年月日: 平成元年12月11日 / 結論: その他
一 いわゆるチェック・オフは、労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)二四条一項但書の要件を具備しない限り、これをすることができない。 二 使用者が過去一五年余にわたってしてきたいわゆるチェック・オフを中止した場合において、当時労働組合から脱退者が続出して、労働組合が当該事業場の従業員の過半数で組織されて…
事件番号: 昭和55(行ツ)101 / 裁判年月日: 昭和58年12月20日 / 結論: 棄却
公共企業体等労働委員会は、不当労働行為の成立が認められる場合であつても、それによつて生じた状態が既に是正され、正常な集団的労使関係秩序が回復されているときは、救済の必要性がないものとして、救済申立てを棄却することができる。
事件番号: 昭和54(行ツ)85 / 裁判年月日: 昭和58年2月24日 / 結論: 棄却
夏季一時金の算定の基礎となる出勤率を計算する場合にストライキによる不就労を欠勤と扱うべきか否かについて労使間の合意や慣行は成立していなかつたが、組合がはじめてストライキを実施したところ、使用者は右ストライキによる不就労を通常の欠勤と同一に取り扱つたなど判示の事実関係のもとにおいては、使用者の右措置は労働組合法七条一号の…
事件番号: 平成16(行ヒ)50 / 裁判年月日: 平成18年12月8日 / 結論: 破棄差戻
1 労働組合法2条1号所定の使用者の利益代表者に近接する職制上の地位にある者が使用者の意を体して労働組合に対する支配介入を行った場合には,使用者との間で具体的な意思の連絡がなくとも,当該支配介入をもって使用者の不当労働行為と評価することができる。 2 労使協調路線を採るA労働組合の組合員である新幹線運転所の指導科長(助…