自作農創設特別措置法第四〇条の二第四項第五号の法意は、牧野で所有権その他の権限に基きこれを家畜の放牧又は採草の目的に供することのできる者が現に当該目的に供していない場合をいうのであつて、みずから牧草を採取していなくても、これらの者から採草の権利を取得した第三者が現にその牧草を採草している場合は右の場合に該当しない。
自作農創設特別措置法第四〇条の二第四項第五号の法意
自作農創設特別措置法40条の2第4項
判旨
自作農創設特別措置法40条の2第4項5号にいう「牧野を現にその目的に供していない場合」とは、所有者等から正当な権利を取得した第三者が現に牧草を採取している場合には該当しない。
問題の所在(論点)
自作農創設特別措置法40条の2第4項5号における「牧野につき所有権その他の権原に基きこれを家畜の放牧又は採草の目的に供することのできる者が、現にこれを当該目的に供していない場合」の解釈、特に第三者が正当な権利に基づき採草している場合の成否が問題となる。
規範
自作農創設特別措置法40条の2第4項5号の趣旨は、牧野の所有権その他の権原に基づき家畜の放牧又は採草の目的に供することができる者が、現に当該目的に供していない状態を指す。したがって、これら権原を有する者から採草等の権利を承継した第三者が、正当な権原に基づいて現にその牧草を採取している場合には、同号の要件には該当しないと解するのが相当である。
重要事実
本件土地の所有者から、訴外Dが昭和16年以来、採石・土砂捨て場および採草地として使用する約定で一括賃借していた。Dは昭和18年以降、係争土地に生育する牧草の大部分を、立毛のまま訴外Eに対して売却した。これを受け、買主であるEは本件土地において現に牧草を採取していた。
あてはめ
本件において、賃借人Dは所有者との約定に基づき本件土地を採草地として利用できる地位にあり、その権利に基づきEに対して牧草を売却している。EはDから正当に採草の権利を取得した者といえる。Eが実際に牧草を採取している以上、客観的には牧野としての目的に供されている。そうであれば、権原を有する者自身が直接採草していないとしても、同号にいう「現に当該目的に供していない場合」にはあたらないと評価される。
結論
第三者が正当な権利に基づき牧草を採取している場合は、同法40条の2第4項5号に該当しないため、同条に基づく買収等の対象とはならない。
実務上の射程
農地法関連の行政処分や、自作農創設という政策目的と私権制限の均衡が問題となる場面で活用できる。直接の権原保持者だけでなく、そこから派生した正当な利用者が存在する場合には「遊休地」としての評価が否定されるという判断枠組みを示しており、土地の有効利用の有無を実質的に判断する際の指針となる。
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【結論(判旨の要点)】占有者が土地の所有権を旧所有者に留保することを了解して占有を開始した場合、その占有は「所有の意思」を欠く他主占有であり、民法162条に基づく取得時効は成立しない。 第1 事案の概要:Dは本件土地をEに使用させる際、その所有権は引き続きDに保留しておくこととし、Eもこれを了解した上で本件土地の占有を…
事件番号: 昭和46(行ツ)46 / 裁判年月日: 昭和47年12月12日 / 結論: 棄却
一、自作農創設特別措置法に基づき所有土地を買収された者が買収計画または買収処分に対する取消訴訟を提起しても、右土地につき売渡の相手方のために進行する取得時効は中断されない。 二、自作農創設特別措置法に基づき所有土地を買収された者は、右土地の売渡の相手方を被告として、買収計画または買収処分の取消を条件とする原状回復の請求…