昭和二六年六月法律第一八九号による日本国有鉄道法改正前に、日本国有鉄道職員が市議会議員に当選した場合、その当選は無効ではない。
昭和二六年六月法律第一八九号による日本国有鉄道法改正前における日本国有鉄道職員の市議会議員当選の効力
昭和23年12月法律256号日本国有鉄道法12条,昭和25年5月法律159号2条,昭和26年6月法律189号
判旨
地方公共団体の議会議員と公職との兼職禁止規定の解釈に関し、住民の参政権を制約する結果を招く以上、明確な規定がない限り兼職禁止及びそれによる当選失効を認めることはできない。
問題の所在(論点)
条文の形式的不備(引用ミス)がある場合において、類推解釈や論理的解釈によって兼職禁止の範囲を拡大し、公職選挙法103条1項による当選失効を認めることができるか。
規範
地方公共団体の議員の選挙は、住民の基本的な権利(憲法上の参政権)として認められている。したがって、明確な規定がない限り、議員との兼職が禁止されていると解し、公職選挙法103条1項を適用して当選の効力を失わせることは、権利の制約として妥当ではない。
重要事実
日本国有鉄道(国鉄)の職員であったDらが、地方公共団体の議会議員選挙に当選した。当時の日本国有鉄道法26条2項は、同法12条2項3号に該当する者との兼職を禁じていたが、法改正時のミスにより引用先の12条2項には号が存在せず、実質的に空文となっていた。上告人は、同条を「12条4項3号」の誤記と解釈し、Dらは兼職禁止に抵触するため公選法103条1項に基づき当選を失うと主張して、当選を有効とした裁決の取消しを求めた。
事件番号: 昭和33(オ)63 / 裁判年月日: 昭和33年4月8日 / 結論: 棄却
「A兼光」と記載された投票は、候補者A左文太に対する有効投票と解することはできない。
あてはめ
国鉄法26条2項の引用先が誤りであることは沿革上明らかであり、論理的には修正解釈の余地もある。しかし、議員の地位は住民の基本権に基づくものであるから、法文上の根拠が不明確な状態で兼職禁止を認めるべきではない。本件の規定は「全く意味のないことを定めた規定」といわざるを得ず、これをもって兼職が禁じられていたと解することはできない。したがって、公選法上の届出義務違反を前提とする当選失効の余地もない。
結論
明確な兼職禁止規定が存在しない以上、Dらの当選は無効ではなく、当選を有効とした裁決は正当である。
実務上の射程
権利制限的規定、特に公職の辞退や当選失効を伴う兼職禁止規定の解釈においては、厳格な罪刑法定主義に類する明確性の原則が要求されることを示唆する。立法ミスを解釈で補完して国民に不利益を課すことへの抑制的な姿勢を示す判例として活用できる。
事件番号: 昭和33(オ)577 / 裁判年月日: 昭和33年12月18日 / 結論: 棄却
公職選挙法第二〇九条の二は土地改良区総代選挙に準用がない。