被相続人の死亡による家督相続により家屋所有権を取得した者は、右家屋に対す被相続人の占有権を承継したものと認むべきである。
家督相続により家屋所有権を取得した者は右家屋の占有権を承継するか
民法180条,民法187条,旧民法986条
判旨
建物の所有者の家族として同居する者は、特段の事情がない限り建物の占有補助者にすぎず、建物及びその敷地について独立の占有を認められない。
問題の所在(論点)
建物の所有者と同居する家族が、当該建物およびその敷地について、所有者から独立した占有主体として認められるか。特に、占有補助者の概念が肯定されるか。
規範
建物の所有者の家族としてこれに居住する者は、原則として所有者の占有補助者にすぎず、建物及びその敷地について独立した占有権を有するものとは認められない。
重要事実
Dが本件建物を建築して所有し、上告人はDの家族としてこれに同居していた。Dの死亡後、被上告人Bが家督相続により建物の所有権を取得し、Dの占有権を承継した。上告人はDの死後も引き続き被上告人Bの家族として本件建物に居住し、本件土地の占有を主張した。
あてはめ
上告人は、建物の建築所有者であるDの生前は同人の家族として同居し、Dの死亡後は建物を承継した被上告人Bの家族として同居している。この場合、上告人はDまたはBの占有を補助する立場にあると解される。したがって、建物について独立の占有を認め得ない以上、その敷地である本件土地についても上告人に独立の占有を認めることはできない。
結論
上告人は占有補助者にすぎず、本件土地について独立の占有を認められないため、上告人の主張は棄却される。
実務上の射程
建物収去土地明渡請求の被告適格を検討する際に重要となる。建物の所有者と同居しているだけの家族(占有補助者)は、建物収去の義務を負わないだけでなく、土地の不法占有者として明渡請求の相手方(被告)にもならないことを根拠づける際に活用できる。
事件番号: 昭和24(オ)126 / 裁判年月日: 昭和26年4月13日 / 結論: 棄却
一 裁判上の和解により建物を収去しその敷地を明け渡すべき義務のある者から建物を借り受けその敷地を占有する者は、民訴第二〇一条第一項にいわゆる承継人にあたる。 二 民訴第五一九条第一項にいわゆる債務者の一般承継人には、判決の効力の及ぶ債務者の特定承継人をも含む趣旨に解釈すべきである。