一 裁判上の和解により建物を収去しその敷地を明け渡すべき義務のある者から建物を借り受けその敷地を占有する者は、民訴第二〇一条第一項にいわゆる承継人にあたる。 二 民訴第五一九条第一項にいわゆる債務者の一般承継人には、判決の効力の及ぶ債務者の特定承継人をも含む趣旨に解釈すべきである。
一 裁判上の和解により建物を収去してその敷地を明け渡すべき義務のある者から建物を借り受けその敷地を占有する者と民訴第二〇一条第一項にいわゆる承継人 二 民訴第五一九条第一項にいゆる債務者の一般承継人の解釈
民訴法201条1項,民訴法203条,民訴法519条1項
判旨
建物収去土地明渡義務者から建物を借受け、敷地を占有する者は、民事訴訟法上の「承継人」に該当し、和解調書の既判力・執行力が及ぶ。また、民事執行法上の執行文付与の対象となる承継人には、一般承継人のみならず、判決の効力の及ぶ特定承継人も含まれる。
問題の所在(論点)
建物収去土地明渡義務を負う債務者から、その建物を賃借した者が、民事訴訟法上の「承継人」として既判力・執行力の拡張を受けるか。また、執行文付与の手続きにおいて、特定承継人も債務者の承継人として扱われるか。
規範
建物賃借人の敷地に対する占有は、建物所有者(賃貸人)の敷地に対する占有に基づき取得されるものであるから、占有の関係において一種の承継があるといえる。したがって、建物収去土地明渡義務を負う建物所有者から建物を賃借した者は、民事訴訟法第115条1項3号(旧201条1項)にいう「承継人」にあたる。また、執行文付与の対象となる債務者の承継人には、一般承継人だけでなく、既判力および執行力が及ぶ特定承継人も含まれると解すべきである。
重要事実
Dは、裁判上の和解により、特定の建物を収去してその敷地たる土地を明渡すべき義務を負っていた。上告人らは、その和解成立後にDから本件建物を賃借し、居住を開始することで敷地を占有するに至った。そこで、土地所有者側が当該和解調書に基づき、承継人である上告人らに対して執行文の付与を受け、強制執行を試みたところ、上告人らが自身は承継人に該当しない等と主張して争った事案である。
あてはめ
建物賃借人の敷地占有は建物占有の結果であり、建物所有者が敷地占有を失わないとしても、賃借人の占有は賃貸人の占有に依拠して開始されるものである。本件において、上告人らはDから空家であった建物を賃借・占有しており、敷地についてもDの占有を承継したと評価できる。したがって、上告人らが和解調書の存在を知っていたか否かにかかわらず、同調書の効力は承継人としての上告人らに及ぶ。また、民事執行上の規定も、既判力の及ぶ特定承継人に執行力を認める趣旨に解釈すべきであり、上告人らに対し執行文を付与することは適法である。
結論
建物賃借人は敷地の占有承継人に該当し、既判力・執行力の拡張を受けるため、執行文の付与は適法であり、上告は棄却される。
実務上の射程
建物収去土地明渡請求の勝訴判決後に、債務者が建物を第三者に賃貸して執行を妨害しようとする場面で、当該賃借人を特定承継人として排除するために活用する。実務上、既判力の主観的範囲の拡張(民訴法115条1項3号)を論じる際の必須判例である。
事件番号: 昭和26(オ)535 / 裁判年月日: 昭和28年4月24日 / 結論: 棄却
被相続人の死亡による家督相続により家屋所有権を取得した者は、右家屋に対す被相続人の占有権を承継したものと認むべきである。