株券に関する除権判決の効果は、右判決以後株券を無効とし、公示催告申立人に株券を所持すると同一の地位を回復させるに止まり、申立の時に遡つて右株券を無効とし或は申立人が実質上株主たることを確定するものではない。
株券に関する除権判決の効果
民訴法784条1項,民訴法785条,商法230条
判旨
株券の除権判決は、以後当該株券を無効とし、申立人に株券所持と同一の地位を回復させる効果を有するが、遡及的に株券を無効にしたり実質的株主権を確定したりするものではない。したがって、除権判決を得た者であっても、基準日までに名義書換を完了していない限り、自己が株主であることを会社に対抗できない。
問題の所在(論点)
株券について除権判決を得た者は、名義書換を経ることなく、割当基準日に自己が株主であったことを会社に対抗できるか。特に、盗難等の事情により書換が困難であった場合でも、名義書換という対抗要件が必要とされるかが問題となる。
規範
1. 除権判決の効力は、判決以後に株券を無効とし、申立人に株券所持と同一の地位を回復させるにとどまる。公示催告時への遡及効や、実質的な株主権を確定させる効力は認められない。 2. 除権判決を得た者の会社に対する関係は、株券喪失前における地位を上回るものではない。したがって、会社に対する対抗要件(名義書換)に関する原則が維持される。
重要事実
上告人は、訴外D名義の株式を譲り受けたと主張したが、当該株券を盗取されたとして公示催告の申立てを行い、除権判決を得た。しかし、上告人は新株の割当基準日までに株主名簿の名義書換手続を完了していなかった。被上告会社は、基準日時点の名義人等に基づいて新株を割り当てたため、上告人が自己の株主権を主張して争った。
あてはめ
1. 除権判決は喪失した株券の所持と同様の地位を回復させるにすぎないため、除権判決を得ても直ちに名義書換がなされたことにはならない。 2. 本件において、上告人が基準日までに名義書換を請求しなかった事実は動かない。たとえ株券が盗取され、除権判決を得るまでの間、物理的に名義書換手続を履践することが困難な状況にあったとしても、その一事をもって名義書換という対抗要件の原則を排することはできない。
結論
除権判決を得た者であっても、基準日までに名義書換をしていない以上、自己が株主であることを会社に対抗できない。したがって、会社が基準日の名義に基づいて新株を割り当てたことは正当である。
実務上の射程
会社法上の対抗要件制度(名義書換)の厳格性を維持する射程を有する。除権判決を得たとしても、それは「株券を提示できる地位」の回復にすぎず、会社との関係では別途名義書換が必要であることを強調する際に引用すべき判例である。また、手続上の不備(盗難等)があっても対抗要件の原則が維持される点も重要である。
事件番号: 昭和26(オ)45 / 裁判年月日: 昭和27年8月22日 / 結論: 却下
弁護士用の法律事務所に常勤し、甲の指揮命令を受けて法律事務に従事する弁護士乙が、係書記官から交付された判決正本送達報告書用紙に、受送達者甲の記名押印をして裁判所に持参し、係書記官から判決正本の交付を受けた場合、乙がかねて甲から同判決謄本の受領方を命ぜられ、そのための印鑑使用を許されていて、右印鑑を用いて同時にその判決正…