一 自作農創設特別措置法第五条第四号による都道府県知事の指定がない以上、都市計画法第一二条第一項の土地区劃整理施行区域内の農地であつても、これを買収することができる。 二 原判決の確定するところによれば、本件買収計画に対する訴願の裁決書はおそくも昭和二三年一一月二〇日上告人に送付せられ、その後同二四年一月二九日に本件買収令書が上告人に交付せられたというのであつて、買収処分の効力は買収令書の交付のときに生ずるのであるから、たとえ、右買収令書の日附若しくは同令書に記載された買収の時期が訴願裁決の日以前であつたとしても、それがために買収処分の効力に消長を来すものということはできない。
一 自作農創設特別措置法第五条第四号による都道府県知事の指定と農地の買収 二 農地買収令書記載の買収の時期が買収計画に対する訴願裁決の日以前となつている場合(但し令書の交付は裁決以後)の買収の効力
自作農創設特別措置法5条4号
判旨
行政処分の効力は処分通知の交付時に生じるため、買収令書に記載された買収時期等が訴願裁決前であっても、交付が裁決後であれば処分の効力は妨げられない。また、土地区画整理区域内の農地であっても、都道府県知事の指定がない限り買収対象から除外されない。
問題の所在(論点)
1. 買収令書上の日付等が訴願裁決前である場合、裁決後に交付された買収処分の効力に影響を及ぼすか(行政処分の効力発生時期と先行手続の関係)。 2. 土地区画整理施行境域内の農地が、都道府県知事の指定なくして当然に買収対象から除外されるか(買収除外要件の解釈)。
規範
1. 行政処分の効力の発生時期は、原則として当該処分を記載した書面(買収令書等)が相手方に交付された時点を基準とする。書面上の日付や記載された時期が先行していたとしても、実際の交付が適正な手続(訴願裁決等)の後であれば、その効力は維持される。 2. 自作農創設特別措置法5条4号の買収除外規定の適用については、単に土地区画整理を施行する土地の境域内にあることだけでは足りず、都道府県知事による具体的な「区域の指定」があることを要件とする。
事件番号: 昭和33(オ)616 / 裁判年月日: 昭和37年2月23日 / 結論: 棄却
農地委員会は、未墾地買収計画を定めたときは、遅滞なくその旨を公告し一定書類を一定期間縦覧に供すれば足り、地主に通知することを要しない。
重要事実
上告人は、自ら所有する農地に対する買収計画について訴願を提起した。訴願の裁決書は昭和23年11月20日に送付された。その後、昭和24年1月29日に本件買収令書が上告人に交付された。しかし、当該買収令書の日付または記載された買収時期は、訴願裁決の日以前のものであった。また、当該土地は都市計画法に基づく土地区画整理の施行境域内にあったが、都道府県知事による特段の指定は受けていなかった。
あてはめ
1. 買収処分の効力は買収令書の交付によって生じる。本件では、訴願裁決の送付(昭和23年11月20日)より後である昭和24年1月29日に令書が交付されている。したがって、令書上の記載が裁決前であったとしても、処分自体は適法な裁決後になされたものと評価でき、その効力に消長を来すものではない。 2. 自作農創設特別措置法5条4号は、区画整理区域内の農地のうち「都道府県知事の指定する区域内にあるもの」を買収しないと規定している。本件土地は施行境域内にあるものの、知事の指定がない以上、同条による買収禁止の対象には当たらないと解される。
結論
本件買収処分は有効である。令書の交付時期が訴願裁決後である以上、記載上の日付は処分の効力を左右せず、また知事の指定がない以上、区画整理区域内であっても買収は制限されない。
実務上の射程
行政処分の効力発生時期に関する一般原則(到達・交付時)を確認するとともに、法律が「行政庁の指定」を要件としている場合に、その要件を厳格に解釈し、指定がない限りは原則通りの行政処分が可能であることを示した実務上重要な判断である。
事件番号: 昭和42(行ツ)65 / 裁判年月日: 昭和43年6月13日 / 結論: 破棄自判
自作農創設特別措置法による買収計画の公告および承認があつた後、買収令書の交付または交付に代わる公告が行なわれた事跡がなく、「買収の時期」より十余年も経過して後に、農地法施行法第二条第一項第一号の規定に依拠し、あらたに買収令書を交付して買収処分をすることは許されない。
事件番号: 昭和33(オ)308 / 裁判年月日: 昭和36年3月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法に基づく農地買収において、買収令書の交付が買収計画で定められた買収時期より遅れたとしても、直ちに買収処分が違法となるわけではない。当初の公告の瑕疵を補正する趣旨で後になされた令書交付は、買収計画の時期に遡って所有権移転の効力を生じさせる。 第1 事案の概要:不在地主である上告人…
事件番号: 昭和28(オ)1266 / 裁判年月日: 昭和33年4月30日 / 結論: 棄却
農地所有権の移転後、移転登記未経由の間に登記簿上の所有名義人を所有者としてなされた農地買収処分は、当然無効と解すべきではない
事件番号: 昭和36(オ)1189 / 裁判年月日: 昭和38年5月21日 / 結論: 棄却
自創法第三条の規定による農地の買収において、買収令書は作成されたが交付されなかつたという場合には、行政処分としては成立しても、効力を生ずるに由ない無効の処分と解するのが相当である。