家督相続人の選定は、選定により効力を生じ、届出は、その効力発生の要件ではない。
家督相続人選定の効力発生時期
旧民法982条,旧民法980条
判旨
家督相続人の選定は選定そのものにより効力が生じ、届出は効力発生要件ではない。また、訴訟委任における代理権の欠缺は、本人が口頭弁論等で追認することによって遡及的に補正される。
問題の所在(論点)
1. 選定による家督相続の効力発生に届出が必要か。2. 訴訟代理権に欠缺がある場合、本人の追認によりその瑕疵が補正されるか。
規範
1. 家督相続人の選定の効力は選定行為によって発生し、届出は要件ではない。2. 訴訟行為の代理権に欠缺がある場合であっても、本人がその後に当該代理行為を追認したときは、その欠缺は補正される。
重要事実
本件家屋の所有者Dが死亡し、次男Eが家督相続したが、その後Eも死亡した。三男である被上告人は、母Fによる選定を受けて家督相続人となり所有権を取得したが、届出等の相続手続を完了していなかった。また、第一審等の訴訟手続において、被上告人の母に代理権がなく、訴訟代理人弁護士の受任手続にも不備(無権代理)があった可能性が示唆されたが、被上告人本人は原審の口頭弁論に出頭していた。
あてはめ
1. 被上告人は母Fにより適法に家督相続人として選定されている。家督相続人の選定は選定によって実体法上の権利承継の効力を生じるため、届出未了であっても被上告人は家屋の所有権を取得したといえる。2. 仮に訴訟代理人に正当な代理権がなかったとしても、被上告人本人が昭和25年5月4日の原審口頭弁論において、それまでの代理行為を追認したことが記録上明らかである。したがって、代理権の欠缺という手続上の瑕疵は補正されたと解される。
結論
被上告人は実体法上の権利者であり、かつ訴訟手続上の瑕疵も追認により解消されているため、上告人の主張は理由がなく、上告を棄却する。
実務上の射程
訴訟代理権の欠缺(民事訴訟法34条・54条等)に関する論点において、本人の追認による瑕疵の治癒を認める根拠として引用できる。また、旧法下の家督相続に関する判断であるが、選定行為の実体法的効力についても言及している。
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