しかし原審の認定した處によれば選舉管理委員會の書記は委員長が任命することになつて居るものであるのに原正則が投票用紙交付の事務を行つたのは當日投票用紙交付事務の繁忙と手薄とを見兼ね選舉事務員Dの依頼により自發的に僅々二十分間ばかり手傅つたに過ぎないというのであるからこれを以て書記といえないこと勿論である。
投票用紙の交付事務を議員候補者が手傅つた場合とその候補者の被選舉權
町村制15條3項
判旨
町村制第15条3項に規定する「選挙に関係ある官吏及町村有給の吏員」は限定的に解すべきであり、選挙事務を一時的に手伝ったに過ぎない者はこれに該当しない。
問題の所在(論点)
選挙事務の繁忙を理由に、正規の任命を受けず自発的かつ一時的に選挙事務を補助した者が、町村制第15条3項に規定する「選挙に関係ある官吏及町村有給の吏員」に含まれるか。
規範
法律(町村制第15条3項)が「選挙に関係ある官吏及町村有給の吏員」と具体的に規定している場合、その範囲は列挙されたものに限定される。したがって、任命権者による適法な任命を欠き、一時的に補助的事務に従事したに過ぎない者は、当該規定の対象には含まれない。
重要事実
選挙管理委員会の書記の任命権は委員長にあるところ、原正則は委員長から任命されていなかった。原は、投票当日に用紙交付事務が繁忙であったため、選挙事務員からの依頼を受け、自発的に約20分間、投票用紙の交付を手伝った。この事実に基づき、原が町村制第15条3項にいう「官吏」や「吏員」に該当するかが争われた。
事件番号: 昭和23(オ)31 / 裁判年月日: 昭和23年9月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】選挙における違反行為が認められる場合であっても、それが著しく選挙の公正を害し、または選挙の結果に異動を及ぼすおそれがある場合でない限り、当選または選挙は無効とはならない。 第1 事案の概要:上告人は、当選人である原正則が「書記」の地位にあったとして、その被選挙権の欠如や選挙の無効を主張した。しかし…
あてはめ
まず、書記は委員長が任命する定めであるところ、原はそのような任命を受けていない。また、原の行為は、事務員からの依頼により、繁忙な現場を20分間手伝ったという自発的・一時的なものに過ぎない。条文が「官吏及町村有給の吏員」と明文で具体的に規定している以上、これを例示的なものと解して範囲を広げるべき理由はなく、実質的な補助者に過ぎない原はこれに該当しないと解される。
結論
原正則は町村制第15条3項の規定に該当しない。
実務上の射程
公職選挙法等における選挙事務関係者の資格制限や、地位を濫用した選挙違反の主体を判断する際、法令が「官吏」「吏員」「事務員」等の職階を具体的に掲げている場合には、実質的な従事者であっても任命手続や職務の継続性を厳格に解釈し、限定的に適用すべきことを示唆している。
事件番号: 昭和27(オ)353 / 裁判年月日: 昭和27年8月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】選挙において氏名の一部が異なる「A正」と記載された投票は、候補者「A忠一」に対する有効な投票とは認められない。 第1 事案の概要:選挙において、候補者「A忠一」が存在した。これに対し、投票用紙に「A正」と記載された投票がなされた。上告人は、当該投票が「A忠一」への有効な投票としてカウントされるべき…
事件番号: 昭和23(オ)47 / 裁判年月日: 昭和23年12月24日 / 結論: 棄却
投票紙自体の記載体樣其他選舉當時の諸般の事情等から見て本件係争の二票は選舉人が不慣れの爲め、初め記載の場所を間違えて候補者の氏名を記載したが、後でそれに氣付いてこれを訂正する目的で、正規の場所即候補者氏名記載欄に再び記載したもので、他意あるものではないと認定したものであることは、原判文上明である、而して右の樣な資料によ…
事件番号: 昭和31(オ)734 / 裁判年月日: 昭和31年10月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法上の自書式投票において、候補者の氏名の一部に誤記がある場合であっても、全候補者の氏名との照合により特定の候補者に対する投票の意思が客観的に認められるときは、当該投票は有効である。 第1 事案の概要:本件選挙において、ある投票用紙に記載された氏名の「氏」は「D」であり、「名」の二字のうち一…
事件番号: 昭和27(オ)859 / 裁判年月日: 昭和28年5月15日 / 結論: その他
一 村長選挙に立候補するため、村議会議員を辞職する旨村役場において村議会書記に口頭をもつて申し出た場合、その申出は辞職申出としての効力を有する。 二 公職選挙法八九条によると公務員は原則として在職のまま公職の候補者となることはできないのであるが、それにもかかわらず公務員が在職のまま立候補の届出をした場合に選挙長はその届…