一 弁護士が、所属弁護士会の地域外に設けた事務所において受任し、又はその受任に基いては訴訟代理行為をしても、これらの行為は、無効ではない。 二 債権者が、起訴命令所定の期間を徒過した後でも、その徒過を原因とする仮差押取消訴訟の第二審口頭弁論終結までに本案の訴を提起したときは、仮差押は、これを取り消すことができない。
一 所属弁護士会の地域外に設けられた弁護士事務所における受任行為等の効力。 二 起訴命令所定期間後の本訴提起と仮差押の取消。
弁護士法18条,民訴法746条
判旨
起訴命令によって定められた本訴提起期間を徒過した場合であっても、仮差押取消訴訟の控訴審口頭弁論終結時までに本訴を提起すれば、仮差押の取消しを免れることができる。
問題の所在(論点)
起訴命令で定められた期間を徒過して本訴が提起された場合、どの時点までに提起すれば仮差押の取消しを免れることができるか。その期限が控訴審口頭弁論終結時まで及ぶかが問題となる。
規範
起訴命令の期間は、期間徒過により当然に権利を消滅させる絶対的なものではなく、本訴提起を促すという目的から猶予的性質を有するものと解すべきである。したがって、格別の規定がない限り、民事訴訟の通常原則に従い、判決が確定しない限りは控訴審口頭弁論終結時まで本訴提起の事実を仮差押取消を免れる原因として主張し得る。
重要事実
債権者(上告人)が仮差押を行った後、債務者の申立てに基づき裁判所が起訴命令を発した。債権者は起訴命令で定められた期間内に本訴を提起しなかったため、債務者は民事訴訟法(当時)に基づき仮差押取消しの申立てを行った。債権者は期間徒過後に本訴を提起したが、債務者は、第一審口頭弁論終結までに本訴提起がない以上、仮差押は取り消されるべきであると主張した。
あてはめ
起訴命令の主眼は、仮差押という仮の状態に本訴を通じて結末をつけさせることにあり、仮差押の取消しそのものを目的とするものではない。また、第一審までに限定する法文上の根拠はなく、一度取り消しても再度の仮差押が可能であることから、期限を厳格に解する実益も乏しい。よって、控訴審口頭弁論終結時までの本訴提起を認め、仮差押取消原因の消滅を主張することを許容すべきである。
結論
起訴命令の期間を徒過しても、控訴審口頭弁論終結時までに本訴を提起したときは、仮差押の取消しを免れる。本件上告は棄却される。
実務上の射程
民事保全法37条の起訴命令に関する事案に射程が及ぶ。本判決は適時提出主義等の制限を受けない限り、控訴審でも本訴提起による取消回避が可能であることを示しており、債権者救済の観点から重要な判断基準となる。
事件番号: 昭和23(オ)42 / 裁判年月日: 昭和23年11月9日 / 結論: 棄却
民訴第七五九条の特別事情による仮処分命令取消の申立の当否を審理するについては、仮処分により保全せられるべき実体上の権利の存否及び仮処分の理由の有無について判断する必要はなく、もつぱら仮処分取消の特別事情の有無を判断すべきであり、且つ、これを以つて足りる。