当事者より上告提起の特別委任を受けた訴訟代理人がある場合には、第二審判決の送達後上告提起の期間内にその当事者が死亡しても訴訟手続は中断しない。
上告提起の特別委任を受けた訴訟代理人がある場合と当事者の死亡による訴訟手続中断の有無
民訴法81条2項,民訴法85条,民訴法208条,民訴法213条
判旨
当事者が死亡しても、民事訴訟法上の特別の委任を受けた訴訟代理人が存する場合には、訴訟手続は中断せず、上告期間の進行も停止しない。
問題の所在(論点)
当事者が死亡した場合であっても、特別委任を受けた訴訟代理人が存在するときに、訴訟手続の中断(民事訴訟法124条1項1号)が生じるか。また、それに伴い上告期間の進行が停止するか。
規範
訴訟代理権は当事者の死亡によって消滅せず(民事訴訟法58条1項参照)、訴訟代理人が存する間は、当事者が死亡しても訴訟手続は中断しない(同法124条2項)。この場合、不変期間の進行も停止せず、期間経過により判決は確定する。
重要事実
1. 控訴審判決が昭和23年8月21日に上告人等に送達された。 2. 被上告人の被承継人Dは、判決言渡後の7月31日に死亡した。 3. Dは訴訟代理人に対し、通常訴訟委任のほか、上告提起等に関する特別委任(現行法55条2項各号に相当)を行っていた。 4. 上告人は、Dの死亡により手続が中断したと考え、送達から2週間を経過した9月7日に受継申立とともに上告状を提出した。
あてはめ
被上告人Dは訴訟代理人に対し特別委任をしていたため、当該代理人は上告審における訴訟追行に必要な一切の代理権を有する。法律上、訴訟代理人がいる場合は当事者の死亡によっても手続は中断しない。したがって、Dの死亡により本件手続が中断したとはいえず、上告期間である2週間の不変期間は停止することなく進行した。上告人が上告状を提出したのは送達から2週間を経過した後であり、期間徒過後に提起された上告は不適法である。
結論
本件上告は、不変期間経過後の提起であり、補正不能な不適法なものとして却下される。
実務上の射程
当事者死亡による中断の原則(124条1項1号)と、代理人がいる場合の例外(同条2項)の基本関係を示す判例である。実務上、訴訟代理人がいる場合に相続人が受継しないまま期間が徒過すると、上告権を失うリスクがあることを示唆している。答案上は、訴訟手続の安定を優先する同項の趣旨を意識して論じる。
事件番号: 昭和43(行ツ)33 / 裁判年月日: 昭和48年9月20日 / 結論: その他
寺院の檀徒もしくは檀徒総代たる地位において所轄庁のした寺院規則の認証の無効確認を求める訴訟は、原告の死亡により、当然終了する。
事件番号: 昭和43(オ)723 / 裁判年月日: 昭和43年12月20日 / 結論: 棄却
養親の実子は、養親死亡後養子を相手方として養子縁組無効の訴を提起する訴の利益を有する。
事件番号: 昭和48(行ツ)4 / 裁判年月日: 昭和50年6月27日 / 結論: 棄却
訴訟事件について和解の権限を有する訴訟代理人は、右事件が調停に付された場合、当該調停についても当然に代理権を有する。