從つて猶豫の言渡を取消さるることなくして猶豫期間を經過する迄は刑の執行を受けることがなくなるとは言い得ないから執行猶豫中の者は地方自治法第二〇條にいわゆる「その執行を受けることがなくなるまでの者」に該當するのである。
刑の執行猶豫と被選舉權
地方自治法20條
判旨
刑の執行猶予中の者は、猶予期間を無事に経過するまでは刑の執行を受ける可能性がある不安定な状態にあるため、地方自治法における「その執行を受けることがなくなるまでの者」に含まれる。
問題の所在(論点)
刑の執行猶予中の者が、地方自治法第20条(現:第11条第1項第2号等参照)に規定される、実刑判決を受け「その執行を受けることがなくなるまでの者」に該当するか。執行猶予という「執行の停止」状態が、同条の制限対象に含まれるかが論点となる。
規範
刑の執行猶予は、一定期間その執行を停止し、期間を無事に経過すれば刑の言渡しの効力を失わせる制度である。しかし、猶予期間中は依然として刑の言渡しが効力を有しており、猶予が取り消されれば新たに言渡刑の執行を受けるべき不安定な状態にある。したがって、猶予期間を経過するまでは「執行を受けることがなくなる」とはいえない。
重要事実
上告人は、自由刑の執行猶予の言渡しを受け、その猶予期間中であった。本件では、このような執行猶予中の者が、当時の地方自治法第20条(現行法上の欠格事由等に関連する条文)に規定される「その執行を受けることがなくなるまでの者」に該当し、選挙権や被選挙権が制限されるか否かが争われた。
事件番号: 昭和31(オ)729 / 裁判年月日: 昭和31年11月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法上の投票の効力判定において、投票用紙に記載された氏名等が候補者の誰を指すかにつき、客観的な記載内容のみならず証拠に基づき合理的に推認できる場合には、当該投票は有効と解される。 第1 事案の概要:上告人は、本件選挙における特定の係争投票について、その記載内容から候補者を特定できない等の理由…
あてはめ
執行猶予の言渡しを受けた者は、猶予期間内は現実の執行を免れているが、刑の言渡し自体の効力は維持されている。もし期間中に猶予が取り消されれば直ちに刑が執行される関係にある。このことから、猶予期間が満了して刑の言渡しが失効するまでは、法的に「執行を受けることがなくなった」と評価することはできない。ゆえに、執行猶予中の身分は同条の「執行を受けることがなくなるまでの者」という類型に含まれると解される。
結論
執行猶予中の者は、地方自治法第20条にいう「その執行を受けることがなくなるまでの者」に該当する。
実務上の射程
本判決は、公職選挙法や地方自治法における欠格事由の解釈に際し、執行猶予の法的性質を明らかにしたものである。司法試験においては、公法上の権利制限の要件解釈として、執行猶予中が「刑の執行を終了」した状態ではないことを論証する際に活用できる。
事件番号: 昭和47(行ツ)24 / 裁判年月日: 昭和47年7月20日 / 結論: 破棄差戻
市議会議員選挙において候補者に中野光弘と白沢実とがある場合に、「中野実」「中の実」と記載された投票は、中野光弘候補が同じころ執行された県議会議員選挙に同じ政党の公認をうけて立候補した荒木実と共同して選挙活動をしていた事実があつても、中野光弘に対する有効投票と解することはできない。
事件番号: 昭和44(行ツ)43 / 裁判年月日: 昭和44年8月29日 / 結論: 棄却
出納責任者の選挙犯罪により、当選人について連座による当選無効の訴訟が提起された場合において、右出納責任者について復権があつても、そのことは、右訴訟の結果に影響を及ぼすものではない。
事件番号: 昭和33(オ)577 / 裁判年月日: 昭和33年12月18日 / 結論: 棄却
公職選挙法第二〇九条の二は土地改良区総代選挙に準用がない。