預託金会員制ゴルフクラブの会員権の譲渡をゴルフ場経営会社以外の第三者に対抗するには、指名債権の譲渡の場合に準じて、譲渡人が確定日付のある証書によりこれをゴルフ場経営会社に通知し、又はゴルフ場経営会社が確定日付のある証書によりこれを承諾することを要し、かつ、そのことをもって足りる。
預託金会員制ゴルフクラブの会員権の譲渡を第三者に対抗するための要件
民法467条,民法第3編第2章契約
判旨
預託金会員制ゴルフ会員権の譲渡を第三者に対抗するには、指名債権譲渡の規定(民法467条2項)を準用し、確定日付のある証書による通知または承諾を要する。ただし、既に名義書換えを完了し会員として処遇されている者に対し、対抗要件の欠如を主張することが信義則上許されない場合があり得る。
問題の所在(論点)
預託金会員制ゴルフ会員権の譲渡の第三者対抗要件として、指名債権譲渡の対抗要件(民法467条2項)の準用が必要か。また、確定日付のない入会承認と確定日付のある譲渡通知が競合した場合、いずれが優先するか。
規範
預託金会員制ゴルフ会員権は、会員と経営会社との債権的契約関係であるが、その譲渡を経営会社以外の第三者に対抗するには、指名債権譲渡の対抗要件に関する規定(民法467条)を準用すべきである。したがって、譲渡人が確定日付のある証書によりこれを経営会社に通知し、又は経営会社が確定日付のある証書によりこれを承諾することを要し、かつ、これをもって足りる。もっとも、既に名義書換えを完了し会員として処遇されている者に対し、後順位の譲受人や差押債権者等が対抗要件の欠如を理由に権利取得を否定することが、信義則上許されない場合があり得る。
重要事実
Dは本件ゴルフ会員権を売買業者Fに売り渡し、名義書換請求書等の書類を交付した。Fはこれを業者Gに転売した。Gは上告会社に対し、本件会員権を売り渡したが、上告会社から名義書換手続の代行を委託されたため書類を預かった。Gはまず、上告会社への名義書換を経営会社Iに申請した。その後、Gは同一の会員権を被上告会社に対する借入金の譲渡担保に供し、偽造書類を交付した。Iは、上告会社の入会を承認(確定日付なし)し、上告会社は名義書換料を支払った。その後、被上告会社がDの譲渡通知書を内容証明郵便で発送し、Iに到達した。
事件番号: 平成8(オ)255 / 裁判年月日: 平成9年7月1日 / 結論: 破棄自判
一 事情変更の原則を適用するためには、契約締結後の事情の変更が、契約締結時の当事者にとって予見することができず、かつ、右当事者の責めに帰することのできない事由によって生じたものであることが必要である。 二 自然の地形を変更してゴルフ場を造成したゴルフ場経営会社は、ゴルフクラブ入会契約締結後にゴルフ場ののり面が崩壊したと…
あてはめ
本件会員権の譲渡を第三者に対抗するには、指名債権譲渡に準じて確定日付のある証書による通知・承諾が必要である。被上告会社は、内容証明郵便(確定日付あり)により譲渡通知を発送し、これが経営会社Iに到達しているため、対抗要件を備えている。これに対し、上告会社への入会承諾書には確定日付が付されていない。また、上告会社は名義書換料を支払い会員として処遇される余地があったものの、本件の事実関係の下では、被上告会社が対抗要件の欠如を主張することが信義則に反するといえる特段の事情は認められない。したがって、対抗要件を備えた被上告会社が優先する。
結論
被上告会社は本件会員権の取得をもって上告会社に対抗することができる。上告棄却。
実務上の射程
ゴルフ会員権の二重譲渡や差押えとの劣後関係を論じる際、原則として確定日付の有無で決することを明示した重要判例である。答案上は、まず民法467条2項の準用を導き、その上で「信義則による修正」の可否を検討する枠組みで用いる。特に、先に名義書換えを終えている側の主観的態様や取引の経緯を具体的事実から拾い、信義則の成否を論じることがポイントとなる。
事件番号: 平成6(オ)1361 / 裁判年月日: 平成7年1月20日 / 結論: 破棄自判
ゴルフクラブの預託金制の平日会員としての入会契約の関係書類に会員権の譲渡を禁止する旨が直接明記されていなくても、会員募集要項において、正会員の株式の譲渡が自由であることを述べながら平日会員権の譲渡の可否に触れておらず、平日会員権と独立して他に譲渡することのできない家族会員権とを全く同列に扱い、規約の施行細則において正会…