いわゆる預託金会員組織ゴルフ会員権を目的とする譲渡担保設定契約において、設定者が、あらかじめ、譲渡担保権者の換価処分によりゴルフ会員権を譲り受けた者のために、Fの規則上譲渡に必要とされているF理事会の承認を得るための手続に協力することを承諾している場合には、設定者は、譲受人に対し、同時履行の抗弁により、譲渡担保権者が清算金を提供しないことを理由として、右譲渡承認を得るための手続に協力することを拒絶することができない。
いわゆる預託金会員組織ゴルフ会員権をその譲渡担保権者から譲り受けた者が譲渡担保設定者に対して有するF理事会の譲渡承認手続請求権と右設定者の譲渡担保権者に対する清算金支払請求権との同時履行関係
民法362条,民法369条,民法533条
判旨
預託金制ゴルフ会員権の譲渡担保において、債権者が換価処分として会員権を第三者に売却した場合、設定者はその第三者への名義変更協力義務を負い、清算金の支払いとの同時履行を主張することはできない。
問題の所在(論点)
譲渡担保の目的物であるゴルフ会員権が換価処分により第三者に売却された場合、設定者は当該第三者(譲受人)に対し、債権者に対する清算金請求権を理由として名義変更協力義務の履行を拒絶できるか。同時履行の抗弁権(民法533条類推適用)の成否が問題となる。
規範
預託金制ゴルフ会員権を目的とする譲渡担保において、設定者が将来の第三者への譲渡に必要な理事会の承認手続への協力をあらかじめ承諾している場合、履行期経過後の換価処分(第三者への売却)によって、設定者との関係でも会員権は有効に第三者に移転する。この売却時に譲渡担保関係は消滅し、設定者は債務弁済による会員権回復の機会を確定的に失う。設定者は、取得者(第三者)に対し名義変更手続への協力義務を負い、債権者に対する清算金受領権との同時履行の抗弁を、譲受人たる第三者に対して主張することはできない。
重要事実
上告人(設定者)は、Dカントリー倶楽部の会員権(預託金制)を担保に供し、譲渡担保権設定契約を締結した。同契約には、換価処分に際して理事会の譲渡承認手続に協力する旨の事前承諾が含まれていた。被担保債権の履行期経過後、譲渡担保権者は換価処分権能に基づき、本件会員権を被上告人(第三者)に売却した。被上告人は上告人に対し、名義変更承認願への協力を求めたが、上告人は債権者からの清算金の支払いがあるまで協力を拒むとして、同時履行の抗弁権を主張した。
あてはめ
本件会員権は預託金制の債権的法律関係であり、譲渡担保権者の換価処分としての売却により、設定者との関係でも権利は有効に被上告人へ移転した。この売却により譲渡担保関係は消滅し、上告人は権利回復の機会を喪失した一方で、被上告人のために名義変更手続に協力すべき確定的な義務を負うに至った。清算金受領権は設定者と譲渡担保権者との間の清算関係に基づくものであり、その未払を理由に、譲渡担保関係から離脱した第三者(譲受人)に対する協力義務を拒むことは、契約上の地位の移転に伴う法関係に照らし許されない。
結論
設定者は、取得者である第三者に対し、清算金の支払いとの同時履行を主張して名義変更手続への協力を拒むことはできない。協力請求を認容した原審の判断は正当である。
実務上の射程
譲渡担保における「換価処分」による清算型の手続が完了した際、設定者と第三譲受人との間の法律関係を確定させた判例である。帰属清算型において、債権者に対する清算金請求権(対抗関係)を理由に、第三者への履行を拒めないことを明示した点で、取引の安全を重視する実務上の指針となる。答案上は、譲渡担保の実行完了後の法的効果および同時履行の抗弁の範囲を論じる際に参照すべきである。
事件番号: 昭和39(オ)76 / 裁判年月日: 昭和41年6月28日 / 結論: 棄却
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