いわゆるフルペイアウト方式によるファイナンス・リース契約によりリース物件の引渡しを受けたユーザーにつき会社更生手続の開始決定があった場合、未払のリース料債権は、その全額が更生債権となる。
いわゆるフルペイアウト方式によるファイナンス・リース契約によりリース物件の引渡しを受けたユーザーにつき会社更生手続の開始決定があった場合における未払のリース料債権の性質
民法601条,会社更生法102条,会社更生法103条,会社更生法208条7号
判旨
フルペイアウト方式のファイナンス・リース契約において、ユーザーに会社更生手続が開始された場合、未払リース料債権は全額が更生債権となり、リース業者は更生手続によらずに請求したり、未払を理由に契約を解除したりすることはできない。
問題の所在(論点)
フルペイアウト方式のファイナンス・リース契約において、ユーザーの更生手続開始後に発生する未払リース料債権は、共益債権(随時弁済・解除可能)に当たるか、それとも更生債権(手続拘束・解除不可)に当たるか。また、同契約は双方未履行双務契約として管財人の解除・履行選択の対象となるか。
規範
1. フルペイアウト方式のファイナンス・リース契約の実質は金融上の便宜供与であり、リース料債務は契約成立時に全額が発生し、各月の支払は期限の利益にすぎないため、未払リース料は更生手続開始前の原因に基づき生じた更生債権(会社更生法102条、現行47条1号)に当たる。 2. リース業者は物件引渡しにより履行を完了しており、リース料支払債務と牽連関係に立つ未履行債務を負担しないため、双方未履行双務契約に関する規定(旧103条1項、現行61条1項)は適用されず、共益債権(旧208条7号、現行131条7号)には該当しない。
重要事実
上告人(リース業者)は、D社との間でフルペイアウト方式のファイナンス・リース契約を締結し、事務機器を引き渡した。その後、D社について会社更生手続の開始決定がなされ、被上告人が管財人に選任された。上告人は、更生手続開始後のリース料不払を理由に、管財人に対し契約解除の意思表示をし、未払リース料および損害金の支払を求めて提訴した。
あてはめ
本件契約は、リース業者が投下資本全額を回収できるよう算定されたフルペイアウト方式であり、物件の使用とリース料の支払に対価関係はない。したがって、未払リース料は開始前の原因に基づく債権である。また、上告人は物件引渡しを終えており、以降の保守義務等もD社が負う約定であるから、上告人に「未履行債務」はなく、双方未履行双務契約には当たらない。ゆえに、本件債権は共益債権とは認められず、更生債権としての制約を受ける。
結論
未払リース料債権は更生債権であり、リース業者は更生手続によらずにこれを請求することはできず、また、開始後の不払を理由に契約を解除することもできない。
実務上の射程
本判決は、ファイナンス・リースが実質的に「金融」であることを重視し、倒産手続上の取り扱いを確定させた。民事再生手続や破産手続においても同様の理屈が妥当し、リース業者が「双方未履行双務契約」の規定を援用して介入権を行使することを否定する際の決定的な根拠となる。答案上は、リースの法的性質(金融的性格)と牽連性の欠如をセットで論じることが重要である。
事件番号: 昭和55(オ)1061 / 裁判年月日: 昭和57年10月19日 / 結論: 破棄差戻
一 いわゆるファイナンス・リース契約において、リース業者がリース期間の途中でリース物件の返還を受けた場合には、その原因が利用者の債務不履行にあるときでも、リース業者は、特段の事情のない限り、右返還によつて取得した利益を清算する必要がある。 二 いわゆるファイナンス・リース契約において、リース期間の途中でリース物件の返還…
事件番号: 平成3(オ)1495 / 裁判年月日: 平成5年11月25日 / 結論: 破棄差戻
いわゆるファイナンス・リース契約において、利用者がリース物件の引渡しを受けていないのにリース業者にこれを受領した旨の受領書を交付し、その後リース業者が販売店からその経営不振を理由にリース物件を引き揚げたなど判示の事実関係の下においては、利用者は、リース物件を使用することができなかったからといって、リース料の支払義務を免…