いわゆるフルペイアウト方式によるファイナンス・リース契約中の,ユーザーについて民事再生手続開始の申立てがあったことを契約の解除事由とする旨の特約は,無効である。 (補足意見がある。)
いわゆるフルペイアウト方式によるファイナンス・リース契約中の,ユーザーについて民事再生手続開始の申立てがあったことを契約の解除事由とする旨の特約の効力
民法91条,民法540条1項,民法601条,民事再生法1条
判旨
ファイナンス・リース契約におけるリース物件のユーザーについて会社更生手続が開始された場合、更生管財人が更生手続開始を理由とする契約解除(解除条項)に基づいてリース物件を返還し、将来のリース料相当額等の損害賠償義務を免れることは、更生手続の趣旨を逸脱し、信義則に反して許されない。
問題の所在(論点)
ファイナンス・リース契約において、ユーザー側の更生手続開始を理由とする解除特約に基づき、更生管財人が契約を解除して物件を返還し、将来のリース料債務(更生債権)の支払を免れることが許されるか。
規範
会社更生手続において、リース契約(ファイナンス・リース)が更生手続開始を理由とする解除条項(特約)を含む場合であっても、同条項に基づく解除の効果をそのまま認めることが、債権者間の平等や事業の維持更生を図る更生手続の目的・趣旨を没却させる場合には、信義則上、当該解除権の行使は制限される。
重要事実
ユーザー(更生会社)は、リース会社(相手方)と、物件の引渡しを受け、代金相当額に諸経費を上乗せしたリース料を全額支払う義務を負い、中途解約不可・規定損害金支払義務を伴ういわゆるファイナンス・リース契約を締結した。その後、ユーザーについて会社更生手続開始の申立てがなされた。更生管財人は、本件契約上の「更生手続開始の申立てがあったときは通知なくして当然に解除される」旨の特約に基づき、本件契約を終了したものとして物件を返還し、将来のリース料債務を免れようとした。
あてはめ
ファイナンス・リースは、実質的には物件の取得資金の融資(金融的取引)としての性格を有する。更生手続は、窮境にある企業の事業を維持更生させることを目的としており、特定の債権者が解除条項を濫用して自己の債権を早期に回収し、あるいは管財人が当該条項を利用して特定の債務(将来リース料)の履行を一方的に免れることは、手続の目的に反する。本件において管財人が解除条項を利用して物件を返還し、将来のリース料支払義務を免れることは、リース会社に不測の損害を与え、更生債権者間の衡平を著しく害する。したがって、このような解除権の行使は特約の目的を逸脱したものといえる。
結論
更生管財人による解除条項に基づく契約解除および物件の返還は認められず、将来のリース料債務は更生債権として適切に処理されるべきである。
実務上の射程
本判決は、ファイナンス・リース契約における「倒産解除条項」の効力を、更生手続の理念(事業継続と公平)の観点から制限したものである。実務上、リース物件が事業継続に不可欠な場合、管財人は安易に解除条項を利用して物件を返還することはできず、共益債権または更生債権として処理する枠組みが維持される。
事件番号: 昭和39(オ)440 / 裁判年月日: 昭和41年4月28日 / 結論: 棄却
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事件番号: 平成29(受)1124 / 裁判年月日: 平成30年12月7日 / 結論: 棄却
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