預託金会員制のゴルフクラブの名称がゴルフ場の営業主体を表示するものとして用いられている場合において,ゴルフ場の営業の譲渡がされ,譲渡人が用いていたゴルフクラブの名称を譲受人が継続して使用しているときには,譲受人が譲受後遅滞なく当該ゴルフクラブの会員によるゴルフ場施設の優先的利用を拒否したなどの特段の事情がない限り,譲受人は,商法26条1項の類推適用により,会員が譲渡人に交付した預託金の返還義務を負う。
ゴルフ場の営業の譲受人が譲渡人の用いていた預託金会員制のゴルフクラブの名称を継続して使用している場合における譲受人の預託金返還義務の有無
商法26条1項
判旨
預託金会員制ゴルフ場の営業譲渡において、譲受人がゴルフクラブの名称を継続使用する場合、特段の事情がない限り、商法26条1項(現行会社法22条1項)を類推適用して預託金返還義務を負う。
問題の所在(論点)
商号の続用を定めた商法26条1項(会社法22条1項)につき、商号そのものではなく「ゴルフクラブの名称」を継続使用した場合に、類推適用の基礎となる「営業主体の同一性」への信頼が認められるか、その成否が問題となる。
規範
預託金会員制ゴルフクラブの名称が営業主体を表示するものとして用いられている場合、ゴルフ場の営業を譲り受けた者が当該名称を継続して使用するときは、譲受人が譲受後遅滞なく会員による施設利用を拒否したなどの「特段の事情」がない限り、商法26条1項(現行会社法22条1項)の類推適用により、譲受人は会員の預託金返還義務を負う。
重要事実
D社は「Eカントリー倶楽部」という名称の預託金会員制ゴルフ場を経営しており、上告人は1300万円の預託金を預け会員資格を取得した。その後、被上告人がD社からゴルフ場の営業を譲り受け、D社の商号は用いなかったものの、同クラブの名称を継続して使用して経営を続けた。上告人は、被上告人に対し、商法26条1項の類推適用に基づき預託金の返還を求めた。
あてはめ
ゴルフ場営業において、クラブ名称は単なるブランドにとどまらず、営業主体を表示するものとして用いられることが少なくない。本件の被上告人も当該名称を用いて経営を続けており、会員が同一の営業主体による継続や債務引受けを信じることには合理的な理由がある。したがって、会員の優先的利用を拒否するなどの「特段の事情」が認められない限り、商号の続用と同視できる外観が存在するといえる。
結論
被上告人は、特段の事情がない限り、商法26条1項の類推適用により本件預託金の返還義務を負う。原審が特段の事情を審理せずに類推適用を否定したのは違法であり、破棄差し戻しを免れない。
実務上の射程
会社法22条1項(旧商法26条1項)の類推適用に関する重要判例である。商号そのものの続用がない場合でも、「営業主体の同一性を示す名称」の続用があれば類推適用が可能であることを示した。答案上は、まず同条の趣旨(外観への信頼保護)を述べた上で、クラブ名称が営業主体を表示する実態を指摘し、本判例の規範を定立してあてはめるべきである。
事件番号: 平成12(受)828 / 裁判年月日: 平成14年1月22日 / 結論: 破棄差戻
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事件番号: 平成8(オ)2224 / 裁判年月日: 平成12年2月29日 / 結論: 破棄自判
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事件番号: 平成10(オ)1116 / 裁判年月日: 平成12年3月9日 / 結論: 破棄自判
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