1 日本国有鉄道改革法6条2項所定の旅客鉄道株式会社及び同法8条2項所定の日本貨物鉄道株式会社の設立委員ひいては上記各社は,その成立の時の職員の採用について,日本国有鉄道がその職員の中から上記各社の職員となるべき者を選定してその名簿を作成するに当たり専らその意思により組合差別をしたという場合には,労働組合法7条にいう使用者として不当労働行為の責任を負わない。 2 雇入れの拒否は,それが従前の雇用契約関係における不利益な取扱いにほかならないとして不当労働行為の成立を肯定することができる場合に当たるなどの特段の事情がない限り,労働組合法7条1号本文にいう不利益な取扱いに当たらない。 (1,2につき反対意見がある。)
1 JR各社の成立の時の職員の採用について専ら日本国有鉄道が組合差別をした場合におけるJR各社の設立委員ひいてはJR各社の労働組合法7条にいう使用者としての責任 2 雇入れの拒否と労働組合法7条1号本文にいう不利益な取扱い
労働組合法7条,労働組合法7条1号,日本国有鉄道改革法6条,日本国有鉄道改革法8条,日本国有鉄道改革法15条,日本国有鉄道改革法21条,日本国有鉄道改革法22条,日本国有鉄道改革法23条,旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律附則2条
判旨
国鉄分割民営化における不採用に関し、国鉄の採用候補者選定プロセスに組合差別があったとしても、設立委員や承継法人が労組法上の「使用者」として責任を負うものではない。また、承継法人の設立後に行われた追加採用(新規採用)における拒否は、特段の事情がない限り、同法7条1号の「不利益な取扱い」には当たらない。
問題の所在(論点)
1. 国鉄による採用候補者名簿の作成過程における組合差別について、承継法人(JR各社)が労組法7条の「使用者」として責任を負うか。 2. 承継法人の設立後に行われた追加採用(6月採用)の拒否が、同法7条1号の「不利益な取扱い」に当たるか。
規範
1. 改革法が採用手続の各段階の主体と権限を明確に分離している場合、設立委員自身が不当労働行為を行った等の特段の事情がない限り、承継法人は国鉄の選定行為について労組法7条の「使用者」責任を負わない。 2. 雇入れの拒否は、それが「従前の雇用契約関係における不利益な取扱いにほかならない」と評価できる特段の事情がない限り、労組法7条1号の「不利益な取扱い」に当たらない。
事件番号: 平成15(行ヒ)16 / 裁判年月日: 平成15年12月22日 / 結論: 棄却
労働組合の組合員に対する雇入れの拒否は,それが従前の雇用契約関係における不利益な取扱いにほかならないとして不当労働行為の成立を肯定することができる場合に当たるなどの特段の事情がない限り,労働組合法7条1号本文にいう不利益な取扱いにも,同条3号の支配介入にも当たらない。 (反対意見がある。)
重要事実
国鉄分割民営化に際し、JR各社の設立委員は国鉄に採用候補者名簿の作成を委ねた。国鉄は名簿を作成したが、国労組合員であった本件救済申立対象者は名簿から除外され、JR北海道・JR貨物に採用されなかった(4月採用)。また、JR北海道は設立後に事業団職員を対象に追加採用を行ったが、そこでも申立対象者は採用されなかった(6月採用)。中央労働委員会は不当労働行為を認めたが、JR側が取消訴訟を提起した。
あてはめ
1. 改革法23条は採用手続の段階ごとに主体と権限を明確に分離しており、採用候補者の選定は専ら国鉄の権限とされている。本件では設立委員自身が不当労働行為を行ったとはいえず、法制度上、選定過程の責任は専ら国鉄(及び事業団)に帰属するため、承継法人は「使用者」に当たらない。 2. 6月採用は、承継法人の設立後に独自の判断で行われた新規の採用である。採用の拒否が従前の雇用関係における不利益取扱いと同視できるような特段の事情は認められず、企業が有する雇入れの自由の範囲内にある。
結論
承継法人は4月採用における国鉄の選定行為について使用者責任を負わず、また6月採用の拒否も不利益な取扱いに当たらない。救済命令を取り消した原審の判断は正当である。
実務上の射程
国鉄改革という特殊な法的枠組みを前提とした判断ではあるが、1.については「権限の分離」がある場合に使用者性の拡張を否定する論理として、2.については「採用の自由」と労組法7条1号の関係を示す一般法理として、不当労働行為の事案で活用できる。
事件番号: 平成15(行ヒ)16 / 裁判年月日: 平成15年12月22日
【結論(判旨の要点)】国鉄分割民営化における承継法人の採用に関し、不採用となった職員との間で承継法人が労組法上の「使用者」責任を負うのは、設立委員自らが不当労働行為を行った場合に限られる。また、新規の雇入れ拒否は、従前の雇用関係における不利益取扱いと評価できる等の特段の事情がない限り、不当労働行為には当たらない。 第1…
事件番号: 平成13(行ヒ)56 / 裁判年月日: 平成15年12月22日
【結論(判旨の要点)】国鉄分割民営化における承継法人(JR)の採用手続において、国鉄が採用候補者の選定に際し不当労働行為(組合差別)を行ったとしても、特段の事情がない限り、承継法人は労働組合法7条の「使用者」としての責任を負わない。 第1 事案の概要:日本国有鉄道(国鉄)の分割民営化に際し、日本国有鉄道改革法23条に基…
事件番号: 平成5(行ツ)141 / 裁判年月日: 平成7年4月14日 / 結論: その他
従来、時間外割増賃金及び深夜割増賃金を含むとの認識の下に水揚高に一定率を乗じた歩合による賃金を支払っていた使用者が、労働基準監督署から割増賃金部分を明確にするよう指導を受けたため、水揚高に従前の率を若干下回る率を乗じた金額を基礎給としこれに時間外割増賃金及び深夜割増賃金を加算して支払うことを内容とする賃金計算方法を採用…
事件番号: 平成22(行ヒ)52 / 裁判年月日: 平成24年2月23日 / 結論: 破棄自判
旅客鉄道事業等を営む会社である使用者が,運転士の経験のない者に対する運転士発令につき車掌職の経験をほぼ必要不可欠な条件とする運用を始めるに当たり,既に運転士の資格を有しているが運転士への発令を留保され車掌職の経験もない未発令の労働者のうち,希望者の中から選考した者に対し車掌となるための教育を行うこととした場合において,…