一 本件の牛胆、平胆およびエキス(判文参照)は、薬事法二条一項二号にいう人の疾病の治療または予防に使用されることが目的とされている物にあたる。 二 同法一二条一項にいう業としての医薬品の製造とは、一般の需要に応ずるため、反覆継続して、医薬品の原料を変形または精製し、もしくは既製の医薬品を配合する等の方法により医薬品を製出することをいい、必ずしも化学的変化を伴うことを要しない。
一 薬事法二条一項にいう医薬品にあたるとされた事例 二 同法一二条一項にいう業としての医薬品の製造の意義
薬事法2条1項,薬事法12条1項,薬事法84条
判旨
旧薬事法2条1項にいう医薬品とは、成分、効能、外観等から疾病の治療・予防に使用されることが目的とされた物をいう。また、同法12条1項の「製造」とは、一般の需用に応ずるため反復継続して原料の変形・精製等により医薬品を製出することをいい、必ずしも化学的変化を要しない。
問題の所在(論点)
1.牛胆、平胆およびエキスが、薬事法2条1項2号所定の「医薬品」に該当するか。2.牛・豚の胆のう等を原料として上記製品を製出する行為が、同法12条1項にいう医薬品の「製造」に該当するか。特に「製造」にあたって化学的変化が必須かどうかが問題となる。
規範
1.医薬品(薬事法2条1項2号)の意義:その成分、効能、外観および名称からみて、人の疾病の治療または予防に使用されることが目的とされている物を指す。2.業としての製造(同法12条1項)の意義:一般の需用に応ずるため、反復継続して、医薬品の原料を変形もしくは精製し、または既製の医薬品を配合する等の方法により医薬品を製出することをいい、必ずしも化学的変化を伴うことを要しない。
重要事実
被告人は、牛または豚の胆のうおよび胆汁を原料として、(1)豚の胆のうを袋から取り出し煮つめた後、さらに牛の胆のうの袋に詰め込んで乾燥させた「牛胆」、(2)煮つめたものを豚の胆のうの袋に詰め込み平たくして乾燥させた「平胆」、(3)煮つめたものを缶詰にした「エキス」を、許可を受けることなく反復継続して製造・販売・貯蔵した。
あてはめ
1.本件の牛胆、平胆およびエキスは、その成分や効能、外観、名称に照らせば、疾病の治療・予防を目的とする物と認められるため「医薬品」に該当する。2.製造の点については、被告人は一般の需要に応ずるべく、牛・豚の胆のう等の原料を「煮つめる」「詰め込む」「乾燥させる」といった工程を経て変形・精製し、新たな製品として製出している。たとえこれらの工程に化学的変化が伴わなくとも、原料を加工して医薬品としての形態を整える行為は「製造」にあたると解される。
結論
本件各製品は医薬品に該当し、被告人がこれらを製出した行為は無許可の医薬品製造(薬事法12条1項違反)を構成する。
実務上の射程
医薬品の定義における「目的」の客観的判断基準(外観・名称等)を示し、かつ「製造」概念が化学的変化を要しない広範な加工・精製を含むことを明らかにした。行政取締法規における「製造」概念の解釈指針として、薬機法等の実務でも広く参照される。
事件番号: 昭和59(あ)1280 / 裁判年月日: 昭和63年4月15日 / 結論: 棄却
本件「ビバ・ナチユラル」は、その成分、形状、名称、表示された使用目的・効能効果・用法用量、販売方法、特に、販売に際し「高血圧、動脈硬化、肝臓疾患に非常に効果がある」旨記載したポスターや右各疾患、症状に対する薬理作用を示す「治験例集計紙」を添付するなどしてその医薬品的効能効果を演述宣伝していた事実などを総合すると、薬事法…