いわゆるPTP包装の施された本件糖衣錠剤は、その外観、形状等に照らすと、血圧降下剤「リポクレイン錠」であるとの表示等をまつまでもなく、薬事法二条一項二号又は三号の医薬品にあたる。
薬事法二条一項二号又は三号の医薬品にあたるとされた事例
薬事法2条1項,薬事法12条1項,薬事法84条2号
判旨
PTP包装された糖衣錠剤について、外観・形状のみから薬事法上の医薬品(2条1項2号)と断定し難い場合であっても、名称表示等の客観的事態を総合すれば、同項2号または3号の医薬品に該当すると判断した。
問題の所在(論点)
特定の物品が薬事法2条1項所定の「医薬品」に該当するか否かの判断基準、特に外観や形状以外の表示要素をどのように考慮すべきかが問題となる。
規範
薬事法(現・医薬品医療機器等法)2条1項における「医薬品」の該当性は、当該物の外観、形状のみならず、その名称、成分、効能、用法、用量、販売の際の宣伝・説明等の客観的な諸状況を総合考慮して、その物が疾病の診断、治療若しくは予防に使用されることが目的とされている物(2号)または身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている物(3号)と認められるか否かによって判断すべきである。
重要事実
被告人が販売等に関与した物品は、PTP包装(プレス・スルー・パッケージ)が施された糖衣錠剤であった。当該包装等には、血圧降下剤である「リポクレイン錠」という具体的な名称が表示されていた。原判決はこれが同法2条1項2号の医薬品にあたるとしたが、弁護人はその該当性を争い上告した。
あてはめ
本件糖衣錠剤は、PTP包装という形態をとっており、その外観や形状のみから直ちに疾病治療を目的とする医薬品(2号)であると断定するには慎重を要する。しかし、当該包装上には「血圧降下剤『リポクレイン錠』」という具体的な表示がなされている。このような表示等は、その物が薬理作用を期待される医薬品として流通・使用されることを客観的に示すものである。したがって、外観・形状と併せてこれらの表示内容を総合すれば、本件物品は同項2号(治療用等)または3号(身体機能影響用)の医薬品に該当すると認められる。
結論
本件物品は薬事法2条1項2号または3号の医薬品に該当する。
実務上の射程
医薬品の定義(目的物概念)に関するリーディングケースである。答案上では、外観(形態)のみで判断が困難な場合でも、ラベルの表示、説明書の記載、販売時の説明といった「客観的な表象(目的性)」を総合考慮して、法2条1項各号への該当性を論じる際の論拠として使用する。
事件番号: 昭和46(あ)147 / 裁判年月日: 昭和46年12月17日 / 結論: 棄却
一 本件の牛胆、平胆およびエキス(判文参照)は、薬事法二条一項二号にいう人の疾病の治療または予防に使用されることが目的とされている物にあたる。 二 同法一二条一項にいう業としての医薬品の製造とは、一般の需要に応ずるため、反覆継続して、医薬品の原料を変形または精製し、もしくは既製の医薬品を配合する等の方法により医薬品を製…