地方自治法第二八一条の二第一項は、憲法第九三条第二項に違反しない。
地方自治法第二八一条の二第一項と憲法第九三条第二項。
地方自治法281条の2第1項,憲法93条2項
判旨
憲法93条2項にいう「地方公共団体」とは、社会的基盤としての住民共同体意識に加え、自主立法・行政・財政権等の基本的権能を付与された団体を指す。東京都の特別区は、大都市行政の統一的遂行の要請から自治権に重大な制約があるため同条の団体に当たらず、その長の公選制廃止は違憲ではない。
問題の所在(論点)
憲法93条2項が「地方公共団体の長……は、その地方公共団体の住民が直接これを選挙する」と規定する中で、東京都の特別区が同条にいう「地方公共団体」に該当するか、また、特別区の長の公選制を廃止した地方自治法の規定が同条に違反しないかが問題となった。
規範
憲法93条2項の「地方公共団体」とは、単に法律上の扱いに留まらず、(1)住民が経済的文化的に密接な共同生活を営み、共同体意識を持っているという社会的基盤が存在し、(2)沿革的・現実的にも、相当程度の自主立法権、自主行政権、自主財政権等の地方自治の基本的権能を付与された地域団体を指す。かかる実体を備えた団体である限り、その権能を法律で奪うことは許されない。
重要事実
東京都の特別区(23区)は、戦後一時期、区長公選制や市並みの事務権限が認められていたが、昭和27年の地方自治法改正(281条の2第1項)により区長公選制が廃止され、議会が都知事の同意を得て選任する方式に変更された。特別区は、警察、消防、道路、水道等の重要事務が都に留保され、独自の新税創設にも都の同意を要するなど、市町村と比較して自治権に重大な制約が課されていた。
あてはめ
東京都の特別区は、大都市行政の統一・均衡・計画性の実現という要請に基づき、市に属する重要事務が都の権限とされ、独立した課税権も認められていない等、自治権に重大な制約がある。したがって、市町村のような「地方自治の基本的権能を付与された地域団体」という実体を備えているとはいえず、憲法93条2項の「地方公共団体」には当たらない。そうである以上、区長の選任方法を公選制から選任制へと変更することは立法政策の問題である。
結論
東京都の特別区は憲法93条2項の地方公共団体に当たらないため、区長公選制を廃止した地方自治法281条の2第1項は、同条に違反せず合憲である。
実務上の射程
憲法上の「地方公共団体」の定義(実体説)を明示した重要判例である。答案上は、地方自治の定義や住民投票(95条)の適否が問われる場面で、当該団体が「実体を備えた団体」といえるかを検討する際の規範として用いる。なお、その後の地方自治法改正により、現在は特別区の区長公選制は復活しているが、判例の示す憲法上の団体概念の枠組み自体は維持されている。
事件番号: 昭和28(あ)4388 / 裁判年月日: 昭和29年5月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賄賂罪(刑法197条等)における「職務」とは、公務員の一般的職務権限に属する事務を指し、具体的・個別的な事務の配分を受けていることまでは必要とされない。 第1 事案の概要:被告人が行った行為が、その地位に基づく職務に関連するものであるかどうかが争われた事案。判決文には具体的な職業や行為態様の詳細は…
事件番号: 昭和38(オ)80 / 裁判年月日: 昭和39年4月21日 / 結論: 棄却
抽象的に法令の違憲を主張する訴は不適法である。
事件番号: 昭和38(あ)233 / 裁判年月日: 昭和40年4月28日 / 結論: 棄却
一 農業協同組合の支部が、独立の会計を有していることなどにより、独立の団体としての実質を具えているものと認められる場合には、その支部は、刑法第一九七条の二、第一九七条の五にいう第三者にあたるものと解される。 二 前項の場合において、右支部の代表者が、その支部を第三者とする刑法第一九七条の二の罪について、被告人として弁解…