台湾人男子と婚姻によつて内地戸籍から除かるべき事由の生じた内地人女子は、日本国と中華民国との間の平和条約発効とともに日本国籍を失う。
台湾人男子と婚姻した内地人女子の日華平和条約発効後の国籍。
外国人登録法(昭和31年法律96号による改正前のもの)11条2項,外国人登録法(昭和31年法律96号による改正前のもの)18条1項1号,日本国と中華民国との間平和条約2条,日本国と中華民国との間平和条約10条,憲法10条
判旨
平和条約による台湾の領土割譲に伴い、日本国内法上で台湾人としての法的地位を持つ人は日本国籍を喪失する。これには台湾戸籍に登載された人のほか、台湾人との婚姻により内地戸籍から除かれるべき事由が生じた人も含まれる。
問題の所在(論点)
平和条約による領土割譲に伴い、日本国籍を喪失する「台湾人としての法的地位を持つ者」の範囲に、台湾人と婚姻して内地戸籍から除籍されるべき事由が生じた日本人女性が含まれるか。
規範
日本国との平和条約及び日本国と中華民国との間の平和条約の発効により、日本の国内法上で台湾人としての法的地位を持っていた人は日本国籍を喪失する。「台湾人としての法的地位を持っていた人」とは、台湾の戸籍に登載されていた者のほか、法律上台湾人との婚姻の届出がなされて内地戸籍から除かれるべき事由が生じた者(内地人たる法的地位を失った者)をも含む。
重要事実
被告人は日本人として出生したが、昭和22年に台湾人男性と適法な婚姻届を提出し、受理された。その後、日華平和条約が発効したが、被告人の戸籍上の氏名は抹消されないままとなっていた。被告人が日本国籍を維持しているか、あるいは条約発効により喪失したかが争点となった。
あてはめ
被告人は昭和22年に台湾人男性と適式の婚姻届を提出しており、たとえ重婚であったとしても無効ではない。婚姻の成立により、被告人には日本国内法上、内地戸籍から除かれるべき事由が生じたといえる。現実に除籍・送籍の手続が完了しているかは事後処理にすぎず、婚姻による法的地位の変化に影響を及ぼさない。したがって、被告人は条約発効時に「台湾人としての法的地位を持つ人」に該当していたと評価される。
結論
被告人は、日本国と中華民国との間の平和条約の発効(昭和27年8月5日)とともに、日本国籍を喪失した。上告棄却。
実務上の射程
領土割譲に伴う国籍喪失の基準を、現実の戸籍記載の有無ではなく、戸籍法令上の「除籍されるべき事由(婚姻等)」の有無という実質的地位に求めた点に意義がある。なお、本判決は国籍法等の国内法ではなく条約の直接的効果として国籍喪失を認めている。
事件番号: 昭和56(あ)309 / 裁判年月日: 昭和58年12月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】日本国との平和条約の発効により、朝鮮・台湾等の領土分離に伴い、当該地域の住民であった者は日本国籍を喪失し、外国人登録法の適用を受けることとなる。この解釈は憲法10条、11条、13条、31条、98条2項に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は朝鮮半島等にルーツを持つ人物(判決文上詳細は不明)であり…
事件番号: 昭和44(あ)938 / 裁判年月日: 昭和45年11月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】サンフランシスコ平和条約の発効により、朝鮮人としての法的地位を有する者は日本国籍を喪失した。そのため、同条約発効後に施行された外国人登録法により、これらの方々に外国人としての登録義務を課すことは適法である。 第1 事案の概要:被告人は、朝鮮人としての法的地位を有する者であったが、外国人登録法に基づ…