刑法第二五三条の業務上他人の物を占有するということは、犯罪者の属性による刑法上の身分であるが、憲法第一四条にいわゆる社会的身分と解することはできない。
刑法第二五三条の業務上他にの物を占有するということは、憲法第一四条にいわゆる社会的身分にあたるか
刑法65条,刑法253条,憲法14条
判旨
業務上横領罪(刑法253条)が単純横領罪(252条)に比して刑が加重されているのは、業務上の占有という属性により反社会性が顕著で犯情が重いためであり、この属性は憲法14条にいう社会的身分には当たらない。
問題の所在(論点)
刑法253条(業務上横領罪)における「業務上占有する者」という属性が、憲法14条1項の「社会的身分」に該当し、不合理な差別に当たるか。
規範
刑法253条が単純横領罪に対し刑を加重している趣旨は、業務上占有する他人の物を横領することが、単純横領に比して反社会性が顕著であり、犯情が重いとされる点にある。ここにおける「業務上他人の物を占有する」という属性は、犯罪者の属性による刑法上の身分であって、憲法14条1項にいう「社会的身分」には当たらない。
重要事実
上告人は業務上横領罪(刑法253条)に問われたが、同罪が単純横領罪(252条)よりも重い刑を科していることは、法の下の平等を定めた憲法14条に違反する「社会的身分」による差別であると主張して上告した。
あてはめ
業務上横領罪において刑が加重されるのは、業務上の委託関係という高度な信頼を裏切る行為が、単純な占有に基づく横領よりも反社会性が強く、非難可能性が高いという実質的根拠に基づいている。このような職務や職域に基づく「業務」という属性は、憲法が禁ずる出生等の後天的努力で変更不可能な「社会的身分」に基づく不当な差別ではなく、犯罪態様の重さに応じた刑法上の適法な区別であると解される。
結論
業務上横領罪の規定は憲法14条に違反せず、合憲である。
実務上の射程
共犯と身分(刑法65条)の議論において、業務上横領罪が「不真正身分罪」とされる実質的根拠を説明する際に、本判決の「反社会性が顕著で犯情が重い」という趣旨を引用することができる。
事件番号: 昭和30(あ)423 / 裁判年月日: 昭和30年9月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】業務横領罪において、身分なき共犯者が加功した場合、刑法65条の規定により共犯として成立するが、科刑については同条2項に基づき通常の横領罪(単純横領罪)の刑を科すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、身分関係を有しない立場で業務横領等の犯罪行為に加功したとして起訴された。第一審判決では業務横領罪…