控訴審が第一審判決の量刑不当の主張を理由ありとしてこれを破棄自判するにあたつては、第一審判決の確定した事実に対し法令の適用を示せば足り、控訴審として改めて事実を認定するを要しない。
控訴審が第一審判決の量刑不当を理由として破棄自判した場合と犯罪事実の確定
刑訴法381条,刑訴法400条,刑訴法335条
判旨
控訴審が量刑不当を理由に第一審判決を破棄自判する場合、改めて事実認定や証拠説明を行う必要はなく、第一審が確定した事実に法条を適用して量刑を判断すれば足りる。
問題の所在(論点)
控訴審が量刑不当を理由に第一審判決を破棄自判する場合、判決書において改めて事実の認定や証拠の説示を行う義務があるか。刑事訴訟法における破棄自判時の事実認定の要否が問題となる。
規範
控訴審において量刑不当の控訴趣意を理由ありとして第一審判決を破棄自判する場合、控訴審裁判所は改めて独自に事実の認定及び証拠説明を行うことを要しない。第一審判決が適法に認定し確定した事実に該当法条を適用し、それに基づき量刑を判断することで足りる。
重要事実
第一審判決に対し、被告人側から量刑不当を理由とする控訴がなされた。原審(控訴審)は、第一審の事実認定自体は証拠に照らして正当であると認めた上で、量刑のみが不当であるとして第一審判決を破棄し、自ら判決を言い渡した(破棄自判)。これに対し、弁護側は原判決が改めて事実認定や証拠説明を行っていない点に訴訟法違反があるとして上告した。
あてはめ
原判決は、第一審判決が掲げる証拠に照らし、その事実認定が肯認し得るものであることを判文上明らかにしている。このように第一審の認定事実に誤りがないと判断した上で、量刑のみを修正するために破棄自判を行う場合には、第一審の確定した事実を前提として法を適用すれば足り、重ねて同様の事実認定を記述する必要はない。したがって、原判決のプロセスに違法は認められない。
結論
控訴審が第一審の事実認定を維持しつつ量刑のみを理由に破棄自判する場合、改めて事実認定や証拠説明を行う必要はない。
実務上の射程
量刑不当による破棄自判(刑訴法397条2項、400条但書)の際の判決書の簡略化を認めた射程の長い判例である。答案上は、控訴審の事後審的性格や裁判の迅速化の観点から、第一審の認定事実を引用・援用する手法の適法性を裏付ける根拠として活用できる。
事件番号: 昭和34(あ)2291 / 裁判年月日: 昭和35年6月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審が第一審判決の量刑不当を理由に破棄自判する場合、一審の事実認定を維持する限りにおいて、改めて証拠説明を行う必要はない。 第1 事案の概要:被告人Aは恐喝罪に問われ、第一審で有罪判決を受けた。検察官は量刑不当を理由に控訴した。原審(控訴審)は、一審が認定した事実に誤りはないとしつつも、犯行の動…
事件番号: 昭和28(あ)2859 / 裁判年月日: 昭和30年5月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審において量刑不当を理由に第一審判決を破棄自判する場合、控訴審は第一審判決の確定した事実に対して法律を適用すれば足り、改めて事実を摘示することを要しない。 第1 事案の概要:被告人が第一審判決を受けた後、控訴審において第一審判決の事実認定自体には争いがなかった。弁護人は控訴審において単に量刑不…