科刑上の一罪として認定された所為を併合罪にあたると主張する上告論旨は、被告人にとり不利益な主張であつて、上告理由として許されない。
被告人に不利益な主張であつて上告理由として許されない一事例
刑法54条1項,刑法45条,刑法47条,刑訴法351条
判旨
被告人にとって不利益となる、科刑上の一罪(牽連犯)から併合罪への変更を求める上告は、上告理由として許されない。
問題の所在(論点)
刑法54条1項後段の牽連犯(科刑上の一罪)として認定された事実につき、併合罪にあたると主張して上告することが許されるか(被告人にとって不利益な変更を求める上告の可否)。
規範
被告人に不利益な結果を招く主張、すなわち科刑上の一罪として認定された罪を併合罪として認定し直すべきであるとの主張は、上告理由として許されない。
重要事実
被告人の所為が科刑上の一罪(牽連犯)として認定された事案において、弁護人が上告理由として、当該所為は併合罪にあたると主張した。
あてはめ
原審が科刑上の一罪(牽連犯)として認定した所為について、これを併合罪(刑法45条)にあたると主張することは、複数の刑を併科または加重する可能性を孕むものであり、被告人にとって不利益な主張となる。このような主張は、上告による救済の趣旨に反するため、適法な上告理由を構成しない。
結論
被告人にとって不利益な主張となるため、上告は棄却される。
実務上の射程
本判決は、不利益変更禁止の原則の背後にある『被告人の利益保護』の観点から、被告人側から不利益な主張をすることの適法性を否定している。実務上、罪数関係の誤りを主張する際には、その変更が被告人の有利に働く(併合罪から一罪への変更等)必要があることを示唆している。
事件番号: 昭和27(あ)878 / 裁判年月日: 昭和28年1月29日 / 結論: 棄却
窃盗の併合罪として認定された所為を窃犯等の防止及処分に関する法律第二条第四号の常習窃盗罪にあたる所為であると主張する上告論旨は、被告人にとり不利益な主張であつて上告理由としては許されない。
事件番号: 昭和29(あ)2096 / 裁判年月日: 昭和29年11月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法56条及び57条の再犯加重規定は、再犯者であるという事由に基づき新罪の法定刑を加重するものであり、前犯の確定判決を変更したり重ねて刑を科すものではないため、憲法39条の一事不再理の原則に違反しない。 第1 事案の概要:上告人は、刑法56条所定の再犯にあたるとして、同法57条に基づき再犯加重を適…