窃盗の併合罪として認定された所為を窃犯等の防止及処分に関する法律第二条第四号の常習窃盗罪にあたる所為であると主張する上告論旨は、被告人にとり不利益な主張であつて上告理由としては許されない。
上告理由として不利益な主張となる場合の一例
刑法235条,刑法45条,刑法47条,窃盗等ノ防止及処分ニ関スル法律2条
判旨
被告人にとって不利益となる主張、すなわち原判決が認定した罪数よりも重い罪(常習累犯窃盗等)への変更を求める主張は、上告理由として許されない。
問題の所在(論点)
被告人の弁護人が、原判決の認定した罪よりも重い罪(常習窃盗罪)に該当することを理由として上告を申し立てることが、上告理由として認められるか。
規範
上告審において、被告人の利益を保護する制度趣旨に鑑み、被告人にとって不利益となる主張、すなわち、原判決が認定した事実をより重い罪名に該当すべきであるとする主張は、上告理由として許容されない。
重要事実
被告人が窃盗の併合罪として認定された事案において、弁護人が、当該所為は「盗犯等の防止及処分に関する法律」2条4号の「常習窃盗罪」にあたるものであるとして、原判決の罪数認定の誤りを主張して上告した。
あてはめ
本件における弁護人の主張は、原審で窃盗の併合罪として認定された行為を、より重い刑罰が規定されている常習窃盗罪として認定すべきであるとするものである。このような主張は、結果として被告人に不利益をもたらすものであり、上告制度が被告人の権利救済を目的とする点に照らせば、適法な上告理由として構成することはできない。
結論
被告人にとって不利益な主張は上告理由として許されないため、本件上告は棄却されるべきである。
実務上の射程
不利益変更禁止の原則(刑訴法402条等)の趣旨を上告理由の適格性という観点から示したもの。弁護人が事実誤認や法令適用の誤りを主張する場合であっても、それが実質的に被告人の地位を悪化させる方向での修正を求めるものである場合には、上告理由として排斥される。
事件番号: 昭和27(あ)2162 / 裁判年月日: 昭和28年5月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第一審における単なる訴訟法違反を上告理由とすることはできず、記録上明らかな事実誤認や証拠調手続の不備がない限り、上告は棄却される。 第1 事案の概要:被告人が第一審の証拠調手続(供述調書の証拠採用等)に訴訟法違反があると主張して上告した事案。第一審判決では各供述調書が証拠として掲げられており、他の…