最高裁判所が刑訴第四一四条、第三八六条第一項三号により上告棄却の決定をしたのち、三日の異義申立期間経過後に、弁護人から右決定前に被告人が死亡していたことを理由として公訴棄却の決定を求める旨の申立をしても、右申立は不適法として棄却する外はない。
上告棄却決定前に被告人が死亡していたことを理由とする右決定に対する不服申立
刑訴法414条,刑訴法386条1項3号,刑訴法2項,刑訴法385条2項,刑訴法422条,刑訴法415条,刑訴法404条,刑訴法339条1項4号
判旨
上告棄却の決定に対して判決の訂正の申立(刑訴法415条準用)をすることは許されず、また異議の申立(同法386条2項準用)として構成しても、3日の不変期間を経過した後になされたものは不適法である。
問題の所在(論点)
最高裁判所による上告棄却の「決定」に対し、刑訴法415条の「判決」の訂正の申立をすることができるか。また、異議の申立として構成した場合の期間制限はどうなるか。
規範
最高裁判所が刑訴法414条、386条1項3号に基づき上告を棄却した「決定」に対しては、判決の訂正の申立(刑訴法415条1項)をすることは許されない。また、これに対し刑訴法386条2項を準用して異議の申立を認める余地があるとしても、その申立期間(3日)を経過した後は不適法として棄却される。
重要事実
被告人が昭和27年9月19日に死亡したが、最高裁判所第三小法廷はその事実を知らず、昭和28年4月14日に上告棄却の「決定」をなした。その後、弁護人が被告人の死亡を理由として「申立書」を提出した。本件は、この申立を判決の訂正の申立または異議の申立と解して、その適法性が争われた事案である。
事件番号: 昭和30(す)198 / 裁判年月日: 昭和30年6月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が刑訴法414条、386条1項3号に基づき上告を棄却した決定に対しては、同法415条に基づく判決の訂正の申立をすることは許されない。 第1 事案の概要:最高裁判所は、刑訴法414条、386条1項3号に基づき、申立人の上告を棄却する決定を下した。これに対し、申立人は当該決定の訂正を求めて申…
あてはめ
まず、本件申立を判決の訂正の申立と解した場合、判例(昭和30年2月23日大法廷決定)の示す通り、上告棄却の「決定」は「判決」ではないため、訂正の申立をすることは許されないといえる。次に、本件申立を刑訴法386条2項の異議の申立と解したとしても、記録上、決定の送達から申立まで相当期間が経過しており、3日の申立期間を経過していることは明白である。したがって、いずれの性質を有するとしても不適法であると解される。
結論
本件申立は、決定に対する訂正申立として許されず、また異議申立としても期間徒過により不適法であるため、棄却される。
実務上の射程
決定に対する救済手段として訂正申立は利用できず、異議申立(刑訴法386条2項)によるべきことを示唆する。なお、少数意見は「死亡後の決定は無効であり改めて公訴棄却決定をなすべき」とするが、多数意見は形式的な不適法を優先する実務運用を維持している。
事件番号: 昭和30(す)73 / 裁判年月日: 昭和30年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法414条・386条1項3号に基づき上告を棄却した最高裁判所の決定に対しては、同法414条・386条2項による異議の申立ては認められるが、判決の訂正の申立てをすることは許されない。 第1 事案の概要:申立人は、最高裁判所が刑事訴訟法414条、386条1項3号に基づき下した上告棄却の決定に対…
事件番号: 昭和30(す)47 / 裁判年月日: 昭和30年2月23日 / 結論: 棄却
刑訴第四一四条、第三八六条第一項第三号により上告を棄却した最高裁判所の決定に対しては、同第四一四条、第三八六条第二項により異義の申立をすることができるが、訂正の申立をすることは許されない。
事件番号: 昭和28(す)244 / 裁判年月日: 昭和28年7月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所の上告棄却決定に対して判決の訂正を申し立てることは、刑事訴訟法415条1項の「判決」には当たらないため、同法417条1項に基づき認められない。 第1 事案の概要:申立人は、最高裁判所が行った上告棄却の決定に対し、「決定に対する異議申立書」という標題の書面を提出した。その実質的な内容は、当…
事件番号: 昭和45(す)278 / 裁判年月日: 昭和45年12月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所の上告棄却決定に対する判決訂正の申立ては許されず、内容に誤りがない住居記載の訂正のみを求める申立ては不適法である。 第1 事案の概要:傷害、暴行被告事件について、最高裁判所が上告棄却の決定を下した。これに対し弁護人が「判決訂正申立」という標題の書面を提出したが、その内容は裁判の判断内容そ…