罰金を完納することができない場合の労役場留置期間を言渡すにあたり、一定の日数をもつて右期間を定めても、刑法第一八条に則つている以上、違法ではない。
労役場留置期間を一定の日数をもつて定めることの適否
刑法18条
判旨
罰金を完納できない場合の労役場留置期間の定め方について、裁判所は、一定の日数をもって期間を定めることができる。この場合、罰金の一部が納付されたときは、罰金額と留置日数との割合に応じて相当する日数を控除すべきであり、不当な留置を招くものではない。
問題の所在(論点)
罰金を完納できない場合の労役場留置期間を定めるにあたり、裁判所が単に一定の日数をもって定めることの適法性、および罰金の一部納付があった場合の処理が問題となった。
規範
罰金を完納することができない場合における労役場留置の期間を定める方法については、法律に特段の規定がないため、裁判所は単に一定の日数をもってその期間を定めることができる。ただし、刑法18条(現行6項等)の趣旨に則り、罰金の一部が納付された場合には、罰金額と留置日数の割合に応じて、納付金額に相当する日数を控除して留置すべきものと解する。
重要事実
被告人に対し罰金刑が言い渡されたが、その完納ができない場合における労役場留置の期間の定め方について争われた。原判決は刑法18条に則り労役場留置の期間を定めたが、上告人はこれが違法かつ憲法違反であると主張して上告した。判決文からは具体的な罪名や罰金額等の詳細は不明である。
あてはめ
労役場留置期間の算定方法に関して明文の規定はない。しかし、裁判所が一定の日数を指定したとしても、罰金の一部を納付した場合には、その金額を罰金額全体と対比させ、対応する留置日数を本来の期間から控除する運用がなされる。これにより、一部納付者が留置期間の全部にわたり留置されるという不当な結果は回避される。本件原判決も「刑法18条に則り」と判示しており、同条の控除原則を排除するものではないから、適法であるといえる。
結論
裁判所が一定の日数をもって労役場留置期間を定めることは適法であり、一部納付があった場合にはその割合に応じて日数を控除すべきである。したがって、原判決に違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
刑法18条に基づく労役場留置の言渡しにおいて、期間の換算基準(1日あたりの金額)を明示せず、単に「完納できないときは◯日間労役場に留置する」と定める運用の許容性を示す。実務上は、一部納付による日数控除を前提とした合理的な解釈として、憲法や法の趣旨に反しないことを論証する際に活用できる。
事件番号: 昭和27(あ)5737 / 裁判年月日: 昭和28年6月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法18条に基づく労役場留置は、罰金不完納に対する刑の執行に代わるものであり、未決勾留とはその性質を異にする。留置一日の換算率は必ずしも社会の報酬額や貨幣価値に比例させる必要はなく、同条所定の期間内において裁判官の広範な裁量に委ねられている。 第1 事案の概要:被告人は賍品(盗品)であることを知り…