接客婦として婦女子を雇入れるに当り、単に本人の供述または身体の外観的発育状況のみによつて、同女が満一八歳条に達しているものと判断し、さらに客観的な資料として、戸籍抄本、食糧通帳、若しくは父兄等について正確な調査を講じ、児童の年令を確認する措置を採つた形跡の認められない限り、児童を使用する者が児童の年令を知らなかつたことについて過失がないということはできない。
児童福祉法第六〇条第三項に規定する児童の年令不知に関する過失の有無。
児童福祉法34条1項6号,児童福祉法60条1項,児童福祉法60条3項
判旨
児童福祉法60条3項における「淫行」の意義について、原審の解釈(性的欲求を満足させる行為等)を相当とした最高裁決定である。
問題の所在(論点)
児童福祉法(現行法34条1項6号に相当する規定)が禁止する、児童に対する「淫行」の範囲および解釈の妥当性。
規範
児童福祉法(昭和30年当時)60条3項にいう「淫行」とは、単に性交のみを指すのではなく、青少年の健全な育成を阻害するおそれのある、性的欲求を満足させ、または刺激する行為を指すものと解される(原審の解釈を最高裁が是認)。
重要事実
本件上告人は、児童福祉法60条3項違反の罪に問われた。上告人は原審における同条項の解釈について不服を申し立て、事実誤認および量刑不当を理由として上告を提起した。
あてはめ
最高裁は、原審が示した児童福祉法60条3項の解釈について、同条項の趣旨に照らして相当であると判断した。上告人の主張は事実誤認および量刑不当の主張に帰するものであり、刑事訴訟法405条の上告理由に当たらないとされた。
結論
原審の解釈は妥当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
淫行の概念が物理的な性交に限られないことを示した判例として、児童福祉法や青少年健全育成条例の解釈において参照される。ただし、本決定自体は短文の棄却決定であり、具体的なあてはめ基準については下級審判例やその後の判例を併せて確認する必要がある。
事件番号: 昭和29(あ)1539 / 裁判年月日: 昭和31年9月11日 / 結論: 棄却
児童福祉法第六〇条第三項により故意犯と過失犯とに同様の法定刑を科することは憲法第一一条に違反しない。