一審判決認定の塩酸トロパコカインの所持については、昭和二八年法律第一四号をもつて改正された麻薬取締法第二条、同附則第二項、第一六項により刑の廃止があつても、一罪中の一小部分に過ぎず、第がために刑の量定に影響を及ぼすことなきものと認められる場合には刑訴第四一一条にあたらない。
刑訴第四一一条にあたらない事例
刑訴法411条2号,刑訴法411条5号,麻薬取締法(昭和28年法律第14号)2条1号,麻薬取締法(昭和28年法律第14号)2条2号,麻薬取締法(昭和28年法律第14号)附則2項,麻薬取締法(昭和28年法律第14号)附則16項
判旨
犯罪後の法律の改廃により刑が廃止された場合であっても、それが一罪の一部にすぎず刑の量定に影響を及ぼさないと認められるときは、刑訴法411条を適用して原判決を破棄する必要はない。
問題の所在(論点)
犯罪事実の一部について判決後に刑が廃止された場合、刑訴法411条に基づき職権で原判決を破棄すべきか。
規範
刑訴法411条(判決後の刑の廃止等)の適用に関し、犯罪後、法律の改正等によってその一部が処罰の対象外(刑の廃止)となった場合、当該部分が一罪の中の一小部分にすぎず、刑の量定に影響を及ぼさないと認められるときは、職権破棄の事由とはならない。
重要事実
被告人が塩酸トロパコカインを所持していた事案について、原審判決後の昭和28年法律第14号による麻薬取締法の改正により、当該所持行為に関する刑が廃止された。被告人はこれを不服として上告した。
あてはめ
本件における塩酸トロパコカインの所持は、被告人の犯した一罪の中の一小部分にすぎない。法改正により当該部分の刑が廃止された事実は認められるものの、犯罪の全体像に照らせば、刑の量定に影響を及ぼすほどの影響はないと解される。したがって、原判決を維持しても著しく正義に反するとはいえない。
結論
刑の量定に影響を及ぼさないため、原判決を破棄せず上告を棄却すべきである。
実務上の射程
犯罪後の法令変更(刑法6条、刑訴法411条5号等)が問題となる場面において、形式的な法の廃止があっても、それが犯情の全体に占める割合が軽微で量刑を左右しない場合には、破棄を回避できるとする限界事例の判断基準として活用できる。
事件番号: 昭和27(あ)3941 / 裁判年月日: 昭和29年3月26日 / 結論: その他
一 審判の対象として認定されていない麻薬を没収した違法ある第一審判決を容認した原判決は、刑訴第四一一条第一号により破棄を免れない。 二 麻薬施用者たる医師が塩酸モルヒネ水溶液を中毒症状を緩和するため自己の身体に施用したとの犯罪事実を認定し、その供用物件として塩酸モルヒネ散を没収した違法ある第一審判決を容認した原判決は刑…