舊刑訴法五六一條に規定する疑義の申立は、刑の言渡を受けた者がその裁判主文の趣旨につき疑がある場合に言渡をした裁判所に對しその解釋を求める手續であつて、本件申立の如く當裁判所が上告を棄却した判決の理由等につきその當否を論じ、右判決を無効であるとして當裁判所にこれが更生を求めることは疑義の申立として到底許されないところである。即ち本件疑義の申立は不適法として棄却すべきものである。
舊刑訴法第五六一條の疑義の申立の意義と上告棄却判決に對する疑義申立の適否
舊刑訴法561條
判旨
裁判の解釈に関する疑義の申立て(刑事訴訟法501条相当)は、裁判主文の趣旨について疑いがある場合にその解釈を求める手続であり、判決理由の当否を論じて判決の更正を求めることは許されない。
問題の所在(論点)
裁判の解釈に関する疑義の申立てにおいて、判決理由の不当を理由として判決の更正を求めることが認められるか。同制度の対象と目的が問題となる。
規範
刑事訴訟法における裁判の解釈に関する疑義の申立ては、刑の言渡しを受けた者が、その裁判の「主文」の趣旨について疑いがある場合に、言渡しをした裁判所に対してその解釈を求める手続である。したがって、判決理由の当否を争い、判決の更正(内容の変更)を求める手段として用いることはできない。
重要事実
申立人は、最高裁判所が上告を棄却した判決について、その判決理由等の当否を論じた上で、当該判決は無効であると主張した。その上で、旧刑事訴訟法561条(現行刑事訴訟法501条に相当)に基づき、最高裁判所に対して判決の更正を求める疑義の申立てを行った。
事件番号: 昭和25(す)211 / 裁判年月日: 昭和25年12月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧刑事訴訟法561条に基づく疑義の申立ては、裁判主文の趣旨について疑いがある場合にその解釈を求める手続であり、上告棄却判決の理由について疑義を申し立てることは許されない。 第1 事案の概要:申立人は、最高裁判所が上告を棄却した判決について、その内容に不服があるとして、旧刑訴法561条に基づき、判決…
あてはめ
本件申立ては、最高裁判所の上告棄却判決の「理由」における判断の当否を争うものである。しかし、疑義の申立てはあくまで「主文」の趣旨が不明確な場合にその意味を明らかにするための手続である。申立人の主張は、主文の解釈を求めるものではなく、判決内容そのものの無効を訴え更正を求めるものであり、制度の本来の趣旨から逸脱しているといえる。
結論
本件疑義の申立ては不適法であり、棄却される。判決理由の当否を論じて更正を求めることは、疑義の申立てとして許されない。
実務上の射程
現行刑事訴訟法501条(裁判の解釈に関する疑義の申立て)の解釈において、申立ての対象が「主文」に限定され、理由に対する不服申立てや判決内容の変更を求める手段ではないことを示す際に活用できる。既判力や裁判の確定後の救済手段(再審等)との峻別を確認する基礎的判例である。
事件番号: 昭和25(す)201 / 裁判年月日: 昭和25年12月25日 / 結論: 棄却
刑訴法第五〇一条にいわゆる「裁判の解釈について疑があるとき」とは、判決主文の趣旨が明瞭でなく、その解釈につき疑義がある場合のことである。
事件番号: 昭和44(す)313 / 裁判年月日: 昭和45年1月29日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】上告棄却の決定においてなされた未決勾留日数の本刑算入に関する判断に誤りがある場合、検察官の異議申立てにより、当該算入部分および根拠法条の記載を削除する更正を行うことができる。 第1 事案の概要:麻薬取締法違反被告事件について、最高裁判所が昭和44年12月24日に上告棄却の決定を下した。その際、主文…
事件番号: 昭和44(す)273 / 裁判年月日: 昭和45年1月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法501条にいう「刑の言渡をした裁判所」に上告棄却判決をした最高裁判所は含まれず、また「裁判の解釈について疑があるとき」とは判決主文の趣旨が不明瞭な場合に限られる。 第1 事案の概要:申立人は、最高裁判所による上告棄却判決に対し、刑事訴訟法501条に基づき裁判の解釈に関する疑義の申し立てを…
事件番号: 昭和28(す)225 / 裁判年月日: 昭和28年5月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法501条に基づく裁判の解釈を求める申立ては、刑の言渡しをした裁判に対してのみ許されるため、上告棄却の判決に対して申し立てることはできない。 第1 事案の概要:申立人は、最高裁判所による上告棄却の判決に対し、刑事訴訟法501条に基づき当該裁判の解釈を求める申立てを行った。 第2 問題の所在…