一 繊維製品製造制限規則による規格以外の綿織物を小賣した場合に、その價額が改正前の物價統制令第一一條第二項にいわゆる「不當ニ高價ナル價格等」にあたるか否かを判定するにあたり、大藏大臣が物價統制令第三條第一項但書により一定の者のする右綿織物の賣買について許可した昭和二一年六月二五日藏物商第八六號の價額をもつて適正な價額とし之を標準とすることは正當である。 二 統制額の定のない物を不當に高價で販賣した行爲は改正前の物價統制令第一一條第二項違反の罪を構成する。
一 改正前の物價統制令第一一條第二項にいわゆる不等高價額による販賣か否かを判定する標準と例外許可價額 二 統制額の定のない物の販賣と同令第一一條第二項の不當高價額販賣罪の成立
物價統制令(昭和22年勅令133號による改正前のもの)3條,物價統制令(昭和22年勅令133號による改正前のもの)11條,昭和21年6月25日藏物商86號
判旨
物価統制令による統制額(公定価格)の定めのない物品であっても、特定の配給機関等に認められた例外許可価額を適正価額の指標として参照し、それを著しく超過する価格での取引は「不当に高価な額」による取引として同令違反を構成する。
問題の所在(論点)
物価統制令に基づき直接的な統制額(公定価格)が指定されていない物品の小売取引において、特定の配給機関にのみ認められた例外許可価額を指標として「不当に高価な額」を認定し、同令違反(不当高価額取引)に問うことができるか。
規範
物価統制令上の「不当に高価な額」による取引(不当高価額取引の罪)の成否は、統制額の定めのない物品であっても、取引当時の諸般の事情に基づき客観的に認められる「適正価額」を標準として判断される。この適正価額の算定にあたっては、特定の配給機関等に対して例外的に許可された価額であっても、それが当時の流通実態や業者利潤、その後の価格推移等に照らして合理的であれば、比較判断の標準として用いることが許容される。
重要事実
被告人らは、規格外綿織物(金巾織上品および染色品)を、当時の小売業者等に許可されていた例外許可価額(1ヤールあたり約4円〜5円程度)を大幅に上回る、60円から108円という極めて高い価格で販売した。被告人らは、当該例外許可価額は特定の配給機関のみに適用されるものであり、自分たちのような非正規の小売取引を規制する「統制額」は存在しないため、自由価格が適用されるべきであると主張して上告した。
あてはめ
本件の規格外綿織物は、当時の配給制度下で特定の配給機関以外による販売が本来想定されていなかった。例外許可価額は、業者申請に基づき相当な利潤を含んだ適正な基準として定められており、後の改定価額と比較しても不当に低廉ではない。被告人らの販売価格は、この適正な指標である例外許可価額の10倍以上に達しており、新税額の加算を考慮したとしても著しく高額である。したがって、直接的な統制額の適用がない立場であっても、本件取引価格は客観的な適正価額を著しく超える「不当に高価な額」に該当すると評価される。
結論
被告人らの行為は、物価統制令11条2項(当時)の不当高価額取引の罪に該当し、例外許可価額を標準とした原判決に違法はないとして、上告を棄却する。
実務上の射程
行政上の価格規制が特定の主体にのみ限定されている場合でも、その規制価格が市場の適正価格を反映していると認められる限り、規制外の主体による取引についても「不当な高値」を判断する有力な証拠・基準となり得ることを示している。
事件番号: 昭和24(れ)717 / 裁判年月日: 昭和24年9月15日 / 結論: 棄却
本件のごとき犯罪において、物價廰長官の許可その他の法定の除外事由のあることは、刑訴法第三六〇條第二項にいわゆる「法律上犯罪の成立を阻却すべき原由たる事實上の主張」に該當し、その有無は同條第一項の「罪となるべき事實」に當らない。だから、被告人又は辯護人から原審において特にその主張のない限り、そして本件においてはかかる主張…
事件番号: 昭和24(れ)2381 / 裁判年月日: 昭和26年3月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】盗品等関与罪における『譲受け』の際の価格が社会通念上不相当であるか否かの認定について、証拠に基づき認定された買受価格と統制額との対比により判断することは、証拠に基づかない認定には当たらない。 第1 事案の概要:被告人両名は、本件物品を買い受けた。原審は、当該物品の買受価格を証拠によって認定した上で…