一 處女を強姦して處女膜裂傷を生ぜしめたときは、刑法第一八一條の強姦致傷罪が成立する。 二 裁判所が證人訊問中被告人を退廷させても、訊問終了後被告人を入廷させた上證言の要旨を告げて證人訊問を促がし、且つ辯護人は終始右訊問に立會つて補充訊問もした場合は、裁判所の右措置は、憲法第三七條第二項前段に違反しない。 三 第二審に於ては、被告人及び辯護人から、Aを證人として申請したのに對し、裁判所はこれを却下しながら、第一審第一回公判調書中の同人の供述記載を證據として採用している。しかし同人の供述については、既に第一審において、訊問する機會を被告人に與えられていること前記の通りであらから、第二審において重ねてその機會を與えることをしないでこれを證據にとつても、刑訴應急措置法第一二條第一項又は憲法第三七條第二項に違反するものではない。
一 強姦して處女膜裂傷を生ぜしめた場合と刑法第一八一條の罪の成立 二 裁判所が證人訊問中被告人を退廷させることは憲法第三七條第二項に違反するか 三 第二審において證人申請を却下しながら第一審公判調書中の同證人の供述記載を採證することの可否
刑法181條,憲法37條2項,舊刑訴法339條,刑訴應急措置法12條1項
判旨
被告人を退廷させて証人尋問を行った場合であっても、弁護人が立ち会い補充尋問を行い、かつ被告人に証言要旨を告げて尋問の機会を与えたのであれば、憲法37条2項に違反しない。また、一度反対尋問の機会が与えられた証言については、上訴審で重ねてその機会を与えずに証拠採用しても合憲である。
問題の所在(論点)
証人尋問中に被告人を退廷させる措置、および上訴審において反対尋問の機会を重ねて与えずに前審の供述録取を採用する実務が、憲法37条2項の証人審問権(反対尋問権)の保障に抵触するか。
規範
憲法37条2項は、証人の供述がなされる際に常に被告人が立ち会って反対尋問を行うことまでを絶対的要件とするものではない。証人尋問に弁護人が立ち会い、かつ事後に被告人に対して証言内容を告知した上で自ら尋問する機会を十分に保障していれば、同条の要請する「証人に対して審問する機会」を与えたものと解される。
重要事実
第一審の証人尋問において、裁判長が証人Aの「被告人がいては言い難い」との意向を受け、被告人を退廷させた。尋問には弁護人が終始立ち会い、補充尋問も行った。その後、被告人を入廷させ、裁判長が証言要旨を告知して意見や質問の有無を尋ねたところ、被告人は自ら尋問しない旨を述べた。第二審では、被告人側がAの再尋問を申請したが却下され、第一審の供述記載が証拠採用された。
あてはめ
第一審では、弁護人が尋問に立ち会い補充尋問を行っている上、入廷した被告人に対し裁判長が証言要旨を告知し、直接尋問する機会を提供している。被告人が自ら尋問しないと選択した以上、審問の機会は十分に付与されていたといえる。また、一度第一審で審問の機会が与えられた供述であれば、上訴審において再度尋問の機会を設けずに当該供述を証拠として採用したとしても、既に保障された権利を害するものではない。
結論
被告人の退廷措置および第二審での証拠採用は、いずれも憲法37条2項に違反しない。
実務上の射程
刑事訴訟法281条の規定(証人の付き添い・退廷)の憲法適合性を裏付ける。被告人不在でも弁護人の立ち会いと事後の被告人への手続保障(証言内容の告知と尋問機会の提供)があれば、証拠能力は否定されないという実務上の枠組みを示している。
事件番号: 昭和25(あ)1070 / 裁判年月日: 昭和28年3月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が取調べを必要と認めない証人を却下することは、憲法37条2項に反しない。また、被告人が同意した裁判官の尋問調書を証拠とすることは適法である。 第1 事案の概要:被告人が刑事裁判において、特定の証人の取調べを求めたが、裁判所はこれを必要でないと認めて却下した。また、第一審において、被害者に対す…