裁判所が證人を裁判所外で尋問する場合に被告人が監獄に拘禁されているときのごときは、特別の事由なきかぎり、被告人辯護の任にある辯護人に尋問の日時場所等を通知して立會の機會を與え、被告人の證人審問權を實質的に害しない措置を講ずるにおいては、必ずしも常に被告人自身を證人尋問に立ち會わせなくても憲法法三七條第二項の規定に違反するものではないと解すべきである。
證人を裁判所外で尋問する場合に監獄に拘禁されている被告人を立會せることの要否と憲法第三七條第二項
憲法37條2項,舊刑訴法208條
判旨
裁判所が裁判所外で証人尋問を行う際、被告人が拘禁されている場合でも、弁護人に立会いの機会を与えれば、特段の事情がない限り、被告人本人の立会いがなくとも憲法37条2項に違反しない。
問題の所在(論点)
裁判所が裁判所外で証人尋問を行う際、拘禁中の被告人を立ち会わせなかったことが、憲法37条2項の保障する刑事被告人の証人審問権(対面権・尋問権)を侵害し、違憲とならないか。
規範
憲法37条2項の証人審問権には合理的な制限が伴う。裁判所が裁判所外で証人尋問を行う場合に被告人が拘禁されているときは、特別の事由がない限り、被告人弁護の任にある弁護人に日時場所等を通知して立会の機会を与え、被告人の証人審問権を実質的に害しない措置を講じれば、必ずしも常に被告人自身を立ち会わせる必要はない。
重要事実
被告人の弁護人は、証人Aの尋問を申請し、裁判所は姫路少年刑務所において受命判事によりこれを行う旨を決定した。期日等は被告人及び弁護人に通知され、受命判事は弁護人立会いのもとで証人尋問を実施した。被告人は公判廷での対決や連行による立会いを請求しておらず、後の公判で調書要旨の告知を受けた際も異議を述べなかった。
あてはめ
本件では、受命判事が刑務所において証人尋問を行う際、弁護人に日時・場所を通知して立会の機会を与え、実際に弁護人が立ち会っている。被告人は、公判廷への証人喚問や自身の連行による立会いを明示的に求めた形跡はなく、その後の手続でも異議を述べていない。したがって、弁護人への立会い機会の付与により、被告人の証人審問権を実質的に害しない措置が講じられたといえる。
結論
本件証拠調べの手続は、被告人の証人審問権を実質的に侵害するものではなく、憲法37条2項に違反しない。
実務上の射程
受命判事等による証人尋問(刑訴法158条1項)において、拘禁中の被告人の立会権がどこまで保障されるべきかという文脈で使用する。弁護人が立ち会っていれば、特段の事情(被告人本人の強い対決要望等)がない限り、本人の不在は直ちに違憲・違法とはならないとする論拠となる。
事件番号: 昭和24(れ)731 / 裁判年月日: 昭和25年3月15日 / 結論: 棄却
一 處女を強姦して處女膜裂傷を生ぜしめたときは、刑法第一八一條の強姦致傷罪が成立する。 二 裁判所が證人訊問中被告人を退廷させても、訊問終了後被告人を入廷させた上證言の要旨を告げて證人訊問を促がし、且つ辯護人は終始右訊問に立會つて補充訊問もした場合は、裁判所の右措置は、憲法第三七條第二項前段に違反しない。 三 第二審に…