昭和二二年商工省令第二三號指定繊維資材配給規則附則第三項は、同年商工省告示第五四號によりその内容を補足され具備するものであるから、右附則第三項違反の行爲に對しては、右告示第五四號をも適用しなければならない。
指定繊維資材配給規則附則第三項違反と昭和二二年商工省告示第五四號の適用
昭和22年9月10日工商令23號指定繊維資材配給規則附則3項,昭和22年9月10日商工省告示54號
判旨
委任命令が特定の事項を告示に委ねている場合、当該告示は命令の内容を補足し一体をなすものであるから、罰則の適用にあたっては当該告示を直接の根拠法条として適用しなければならない。
問題の所在(論点)
委任命令が告示にその具体的内容を委ねている場合において、罰則を適用する際に当該告示を適用法条として引用する必要があるか(白紙刑罰法規的構造における適用法条の特定)。
規範
特定の義務(本件では調査表提出義務)を課す省令(委任命令)の規定が、その対象者の指定を特定の告示に委ねている場合、当該告示は命令の規定内容を補足し、その具体的な内容を具備するものである。したがって、当該義務違反に対して罰則を適用する際には、根拠となる省令の条項だけでなく、補足的な内容を定めた告示をも適用すべき法条として明示する必要がある。
重要事実
被告人は撚糸工場の経営者であり、指定繊維資材の加工・販売を業としていた。被告人は、他者から預かった撚糸230貫を保有していたが、指定繊維資材配給規則(昭和22年商工省令第23号)附則3項に基づく調査表を提出しなかったとして、臨時物資需給調整法違反で起訴された。同規則附則3項は、調査表提出義務のある者の指定を特定の告示(昭和22年商工省告示第54号)に委ねていたが、原審は当該告示を適用せずに有罪判決を下したため、法令適用の適否が争われた。
事件番号: 昭和24(れ)1029 / 裁判年月日: 昭和26年7月20日 / 結論: 破棄自判
本件において原判決は被告にAの行為に対する適用法として臨時物資需給調整法第一条第四条繊維品配給消費統制規則第一〇条刑法第五五条昭和二二年法律第一二四号刑法の一部を改正する法律附側第四項を、被告会社に対してはなお同法第六条を掲げているのであるが、右規則第一〇条のいわゆる指定繊維製品というのは同規則第二条により商工大臣の指…
あてはめ
本件配給規則附則3項は、調査表提出義務者の指定を告示第54号によって行うものとしている。このように、告示が省令の規定を補足し、その構成要件の具体的内容(本件では義務者の範囲)を実質的に決定している場合には、告示は省令と一体となって初めて完全な法規範を形成する。したがって、原判決が告示第54号を適用せずに被告人の行為を処罰したことは、処罰の根拠となる法規の構成要素を欠いたまま法律を適用したものであり、法律適用の誤りがあるといえる。
結論
原判決には適用すべき告示を適用しなかった法律適用の誤りがあるため破棄を免れない。もっとも、自判において当該告示を適用した上で、被告人を罰金刑に処するのが相当である。
実務上の射程
白紙刑罰法規や委任命令において、具体的な構成要件要素を告示や下位規範に委ねている場合の処理に関する射程を持つ。答案上は、罪刑法定主義の観点から「適用されるべき法条」を特定する際、根拠となる法律だけでなく、実質的内容を確定させている告示等まで言及が必要であるという論理で使用できる。
事件番号: 昭和25(れ)1884 / 裁判年月日: 昭和26年3月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】指定生産資材割当規則と指定繊維資材配給規則は、後者が前者を補完する関係にあり、一方の適用が他方を排除するものではない。また、需要者の地位にある者が割当証明書と引換えずに資材を売買した場合は、割当規則違反が成立する。 第1 事案の概要:被告人は絹織物等の製造業者であり、指定生産資材である生糸等の需要…
事件番号: 昭和25(あ)406 / 裁判年月日: 昭和25年10月17日 / 結論: 棄却
本件において第一審判決は適用法令として臨時物資需給調整法第一条、第四条、衣料品配給規則第五条を掲げているが、同規則にいわゆる衣料品とは、その第一条第二項に基いて昭和二二年九月一〇日商工省告示第五八号によつて指定されているのであるから、臨時物資需給調整法の罰則を適用するには、衣料品配給規則第五条のほかに右告示第五八号を掲…
事件番号: 昭和24(れ)2750 / 裁判年月日: 昭和25年4月14日 / 結論: 棄却
臨時物資需給調整法に基いて發せられた昭和二二年一月閣令商工、農林、大藏、内務、文部、厚生、運輸、遞信、司法省令第一號、指定生産資材割當規則第一一條は指定生産資材の取引が物價の統制に關する法令に違反したときは、その取引が他面指定生産資材割當規則の規定に違反しても、物價の統制に關する法令のみを適用し臨時物資需給調整法の罰則…
事件番号: 昭和24(れ)1900 / 裁判年月日: 昭和24年12月8日 / 結論: 棄却
論旨は原判決は法律の適用として昭和二三年二月一五日商工農林省令第三號を舉げたが昭和二二年二月一五日商工農林省令第三號は存するが判決に記載された様な省令は見當らない、昭和二三年は或は誤記かも知れぬが存在せざる省令を存するものとして適用した判決である。即ち原判決は舊刑事訴訟法第四一〇條第一九號に「理由ニ齟齬アルトキ」に該當…