一 推薦届出書に署名するにあたり、いわゆる通名をもつてしても右勅令第一五條第一項の「政治上の活動」たるを妨げない。 二 市教育委員會委員の推薦届出に關し、選舉人に對し、右届出書に推薦者としての署名を勸誘し、自からこれに署名する行爲は、昭和二二年勅令第一號(公職に關する就職禁止、退官、退職に關する件)第一五條第一項にいわゆる「政治上の活動」にあたる。 三 教育委員會委員の選舉においては、候補者推薦のために推薦連署するだけの行爲は立候補届出前になされても衆議院議員選舉法第九五條に違反しない。 四 公職追放令第一五條に所謂「政治上の活動」とは、原則として政府、地方公共團體、政黨その他の政治團體又は公職に在る者の政治上の主義、綱領、施策は活動の企畫、決定に參與し、之を推進し支持し若しくは之に反對し、或は公職の候補者を推薦し支持し若しくは之に反對し、或は日本國と諸外國との關係に關し論議すること等によつて、現實の政治に影響を與えると認められるような行動をすることを云うものと解するを相當とすることは、既に當裁判所の見解とするところである。(昭和二三年(れ)第一八六二號昭和二四年六月一三日大法廷判決參照) 五 第一審の訴訟手續に瑕疵ある場合、その瑕疵が延いて第二審の法令違反とする場合でない限りは、第一審の瑕疵を上告理由とすることはできない。
一 候補者推薦届出書に通名により署名する場合と昭和二二年勅令第一號第一五條第一項の「政治上の活動」 二 市教育委員會委員候補者推薦行爲と昭和二二年勅令第一號(公職に關する就職禁止、退官、退職等に關する件)第一五條第一項にいわゆる「政治上の活動」 三 教育委員會委員選舉において立候補届出前に候補者推薦届出書に連署する行為と衆議院議員選舉法第九五條 四 公職追放令第一五條に所謂「政治上の活動」の意義 五 第一審の訴訟手續の瑕疵を理由とする上告の適否
衆議院議員選舉法67條1項,衆議院議員選舉法67條3項,衆議院議員選舉法95條,衆議院議員選舉法129條,教育委員會法16條,教育委員會法28條,地方自治法72條,昭和22年勅令1號15條1項,昭和22年勅令1號16條1項7號,舊刑訴法408條,舊刑訴法409條
判旨
公職追放令15条1項にいう「その他の政治上の活動」とは、公職候補者の推薦や支持等を通じて現実の政治に影響を与える行為を指す。法的な効力がない形式不備の署名活動であっても、客観的に候補者を支持し政治的影響を及ぼすものであれば、同条の「政治上の活動」に該当する。
問題の所在(論点)
公職追放令15条1項に規定される「その他の政治上の活動」の意義、および推薦手続上の効力が認められない不備のある署名活動であっても同条の禁止する「政治上の活動」に含まれるか。
事件番号: 昭和25(あ)84 / 裁判年月日: 昭和25年2月21日 / 結論: 棄却
原判決が昭和二二年勅令第一號第一五条にいう「政治上の活動」の意義について、最高裁判所の判例に示された解釈に從つて被告人の行為を判断しているときは、たとえ判例の適用あやまつたとしても刑訴法第四〇五条第二號にいわゆる「判例と相反する判断をした」ということはできない。
規範
「政治上の活動」とは、原則として、政府、地方公共団体、政党その他の政治団体又は公職にある者の政治上の主義、綱領、施策若しくは活動の企画・決定に参与し、これを推進、支持若しくは反対し、或いは公職の候補者を推薦、支持若しくは反対すること等によって、現実の政治に影響を与えると認められるような行動をすることをいう。
重要事実
被告人は、公職追放令(昭和22年勅令第1号)に基づき公職から追放された者であった。被告人は、大津市教育委員会委員の立候補者Aを支持するため、選挙人らから署名を集めて推薦状(選挙人推薦連署表)を作成する活動を行った。被告人は、当該署名の一部が通名によるものであったため法律上の効力がない(推薦行為として不備がある)こと等を理由に、同令違反(政治活動の禁止)の罪には当たらないと主張した。
あてはめ
被告人が行った行為は、教育委員会委員の候補者を支持することを目的として、選挙人の署名を集めて連署表を作成するものである。これは、公職の候補者を推薦・支持することにより「現実の政治に影響を与えると認められる行動」に他ならない。たとえ通名による署名が含まれ、推薦行為としての法律上の効力が認められない余地があるとしても、追放令の趣旨が政治的影響力の排除にある以上、客観的に候補者を支持する活動に従事した事実は同条の「政治上の活動」に該当すると評価される。
結論
被告人の行為は、形式上の有効性の有無にかかわらず、公職追放令15条1項の「政治上の活動」に該当する。したがって、同令違反の罪が成立する。
実務上の射程
本判決は、特定の禁止規定における「政治活動」の定義を、形式的な法的効力ではなく「政治的影響力」の有無という実質的な観点から画定したものである。公職選挙法や憲法上の政治活動の自由、あるいは公務員の政治行為の制限が問題となる事案において、活動の定義や実質的評価を論じる際の判断指標となる。
事件番号: 昭和23(れ)1862 / 裁判年月日: 昭和24年6月13日 / 結論: 棄却
一 本件被告人を覺書該當者として假指定したことが、中央公職適否審査委員會又は内閣總理大臣の錯誤にもとずいてなされたか否か、從つてそれが無効であるか否かを審判することの權限は、日本の裁判所に屬しない。 二 正當の權限を有する内閣總理大臣が、昭和二二年閣令内務省令第一號第五條第一項の解釋として、本件被告人を假指定したときの…
事件番号: 昭和24(れ)2339 / 裁判年月日: 昭和24年11月17日 / 結論: 棄却
一 覺書該當者が公職に關する就職禁止退職等に關する勅令第一五條により「政治上の活動」を禁止されているのは勿論であり、同條にいわゆる「政治上の活動」とは、原則として政府、地方公共團体、政黨その他の政治團体又は公職に在る者の政治上の主義、綱領、施策又は活動と企画、決定に參與し、これを推進し支持し若しくはこれに反對し、あるい…
事件番号: 昭和26(あ)2230 / 裁判年月日: 昭和26年7月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】昭和22年勅令第1号15条にいう「政治上の活動」は、目的犯のように政治的目的ないし政治的意図を要件とするものではない。政府等の施策活動に関する論議であり、現実の政治に影響を与える行動であれば、主観的な目的の有無にかかわらず同条の活動に該当する。 第1 事案の概要:被告人が行った論議が、昭和22年勅…
事件番号: 昭和25(あ)2025 / 裁判年月日: 昭和25年12月28日 / 結論: 棄却
農業調整委員会は食糧確保臨時措置法により設けられたもので、都道府縣農業調整委員会は都道府縣知事が、市町村農業調整委員会は市町村長が夫々農業計画及びその実施に関し必要な事項を決定するについて、必ずその議決を経なければならない議決機関であり(同法第四条第五条参照)しかも右農業計画というのは同法第二条第二項によれば「主要食糧…