一 覺書該當者が公職に關する就職禁止退職等に關する勅令第一五條により「政治上の活動」を禁止されているのは勿論であり、同條にいわゆる「政治上の活動」とは、原則として政府、地方公共團体、政黨その他の政治團体又は公職に在る者の政治上の主義、綱領、施策又は活動と企画、決定に參與し、これを推進し支持し若しくはこれに反對し、あるいは公職の候補者を推薦し支持し若しくはこれに反對し、あるいは日本國と諸外國との關係に關し論議すること等によつて、現實の政治に影響を與へると認められるような行動を言うものと解するを相當とすることは、すでに當裁判所判例の示すとおりである(昭和二三年(れ)第一八六二號、同二四年六月一三日大法廷判決)。 二 覺書該當者の政治上の活動を處罰するには、いわゆる目的犯のように特に政治的目的ないし政治的意圖は要件として要求されてはいないものと解すべきことも、判例(昭和二三年(れ)第一八六二號、同二四年六月一三日大法廷判決)において明示されている。たゞ客觀的行動の考察だけでは、政治上の活動に該當するかどうかが疑わしい場合においても、被告人の主觀的意思の考察によつて、政治的目的ないし政治的意圖をもつてなされたときは、政治上の活動と認めるを相當とする事例の存すべきことは當然である。そこで原判決は、目的犯處罰の場合のように、單に政治的意圖がないから政治上の活動に該當しないと判斷したものではなく、本件における諸般の具体的事情と環境の下において、前記のごとく客觀的に考察しても、また主觀的に考察しても政治上の活動に該當しないと判斷したものである。從つて、その判斷は、正當であつて前記判例の趣旨に反することもなく、法令に違反するところもない。
一 昭和二二年勅令第一號第一五條にいわゆる「政治上の活動」の意義 二 昭和二二年勅令第一號第一五條にいわゆる「政治上の活動」の判定と行爲の主觀的意圖
昭和22年勅令1號15條
判旨
公職追放令(昭和22年勅令1号)15条にいう「政治上の活動」とは、現実の政治に影響を与えるような行動を指し、旧知の者との雑談中に政治的意図なく述べた程度の所感はこれに該当しない。政治上の活動の認定には、客観的な行動の態様に加え、客観的判断が困難な場合には主観的な意図も考慮して判断すべきである。
問題の所在(論点)
昭和22年勅令第1号15条にいう「政治上の活動」の意義、および私的な雑談における政治的所感の表明が同条の禁止する活動に含まれるか。
規範
「政治上の活動」とは、政治上の主義・施策等の決定に参与・推進・支持・反対し、又は公職候補者を推薦・支持・反対し、あるいは対外関係を論議すること等によって、現実の政治に影響を与えると認められる行動を指す。本罪は目的犯ではないため、原則として政治的意図は要件ではないが、客観的行動のみでは該当性が疑わしい場合に限り、主観的な政治的意図の有無を考慮して判断する。
事件番号: 昭和23(れ)1862 / 裁判年月日: 昭和24年6月13日 / 結論: 棄却
一 本件被告人を覺書該當者として假指定したことが、中央公職適否審査委員會又は内閣總理大臣の錯誤にもとずいてなされたか否か、從つてそれが無効であるか否かを審判することの權限は、日本の裁判所に屬しない。 二 正當の權限を有する内閣總理大臣が、昭和二二年閣令内務省令第一號第五條第一項の解釋として、本件被告人を假指定したときの…
重要事実
覚書該当者(公職追放者)である被告人Aが、かつての知人の秘書格であるBと約30分間の雑談を行った際、政党を離脱したEら一派の消息に触れ、「E君等はあのままでは遂に行くところがなくなってしまう」との所感を述べた。検察官は、これがBを通じて実力者Cに伝わり政治的影響を及ぼす「政治上の活動」に当たると主張して起訴した。
あてはめ
本件発言は、旧知の者との間の短時間の雑談における一話題に過ぎない。当時の政治情勢(E一派の復党困難な状況やCの影響力低下等)に照らせば、当該発言が現実の政治に影響を与える客観的可能性は極めて低い。また、被告人に何ら政治的意図が認められない以上、客観的・主観的いずれの側面から考察しても、現実の政治に影響を与える行動とは評価できない。
結論
被告人の発言は「政治上の活動」に該当しない。したがって、原審の無罪判決を維持し、上告を棄却する。
実務上の射程
行政上の禁止規定(特に表現の自由を制約し得るもの)における「活動」の定義を、現実的影響力の観点から限定解釈する際の指針となる。また、目的犯でない犯罪においても、行動の性質を確定させる要素として主観的意図を補充的に考慮できるとする判断手法は、構成要件解釈において汎用性が高い。
事件番号: 昭和24(れ)555 / 裁判年月日: 昭和24年7月9日 / 結論: 棄却
一 推薦届出書に署名するにあたり、いわゆる通名をもつてしても右勅令第一五條第一項の「政治上の活動」たるを妨げない。 二 市教育委員會委員の推薦届出に關し、選舉人に對し、右届出書に推薦者としての署名を勸誘し、自からこれに署名する行爲は、昭和二二年勅令第一號(公職に關する就職禁止、退官、退職に關する件)第一五條第一項にいわ…
事件番号: 昭和26(あ)2230 / 裁判年月日: 昭和26年7月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】昭和22年勅令第1号15条にいう「政治上の活動」は、目的犯のように政治的目的ないし政治的意図を要件とするものではない。政府等の施策活動に関する論議であり、現実の政治に影響を与える行動であれば、主観的な目的の有無にかかわらず同条の活動に該当する。 第1 事案の概要:被告人が行った論議が、昭和22年勅…
事件番号: 昭和25(あ)84 / 裁判年月日: 昭和25年2月21日 / 結論: 棄却
原判決が昭和二二年勅令第一號第一五条にいう「政治上の活動」の意義について、最高裁判所の判例に示された解釈に從つて被告人の行為を判断しているときは、たとえ判例の適用あやまつたとしても刑訴法第四〇五条第二號にいわゆる「判例と相反する判断をした」ということはできない。
事件番号: 昭和25(あ)2878 / 裁判年月日: 昭和25年12月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧公職追放令(昭和22年勅令第1号)に基づく「政治上の活動」とは、現実の政治に影響を与えるものと認められるような行動を指し、税金闘争を支持する演説等はこれに該当する。 第1 事案の概要:正規陸軍将校であった被告人は、覚書該当者として指定(公職追放対象)されていた。それにもかかわらず、日本共産党地区…