刑法第一九條によれば、犯行行爲に供した物でそれが犯人以外の者に屬しないときは没收され得るのであつて、そのいわゆる「犯罪行爲」とは單に被告人自身の犯罪行爲だけでなく共犯者の行爲をも含むことはほとんど議論の餘地がない。所有者たる犯人自らがその物を犯罪行爲に供した場合でなければ没收ができないという所論は辯護人獨自の見解に過ぎず、採用し得ない。
刑法第一九條の「犯罪行爲」の意義
刑法19條1項2號,刑法2項
判旨
刑法19条1項2号にいう「犯罪行為に供した物」とは、被告人自身の行為だけでなく、共犯者の行為に使用された物も含まれる。したがって、被告人所有の物を共犯者が兇器として使用した場合であっても、当該物件を没収することは適法である。
問題の所在(論点)
刑法19条1項2号の「犯罪行為に供した物」として没収するためには、所有者である被告人自身がその物を使用して犯罪を行う必要があるか。共犯者が使用した場合にも同条が適用されるか。
規範
刑法19条1項2号の「犯罪行為」には、被告人自身の直接的な実行行為のみならず、共犯者の行為も含まれる。また、同条2項の「犯人以外の者に属しないとき」に該当すれば、所有者である被告人自らがその物を犯罪に使用したか否かを問わず、没収の対象となる。
重要事実
被告人は共犯者Aと共に強盗に及んだ。その際、被告人が所有する日本刀を共犯者Aが兇器として使用した。原判決が当該日本刀を没収したことに対し、被告人側は、自身が使用した物ではないため刑法19条1項2号に基づく没収は違法であると主張して上告した。
あてはめ
本件の日本刀は、被告人と共犯関係にあるAによって強盗の「犯罪行為に供された物」である。刑法19条1項は「犯罪行為」を被告人自身の行為に限定しておらず、共犯者の行為も包含すると解するのが相当である。本件日本刀は被告人の所有物であり、「犯人以外の者に属しないとき」(同条2項)という要件も満たす。したがって、所有者である被告人自身が直接兇器として用いていないとしても、共犯者の行為を通じて犯罪に供された以上、没収の要件を具備しているといえる。
結論
被告人以外の共犯者が使用した被告人所有の物であっても、刑法19条1項2号により没収することができる。
実務上の射程
共犯事件における没収の客観的範囲を確定した判例である。答案上は、没収の要件を検討する際、特に「犯罪行為」の意義を広く解釈し、共犯者間での役割分担(提供者と使用者)がある場合でも没収が可能であることを示す根拠として活用できる。
事件番号: 昭和24(れ)2763 / 裁判年月日: 昭和27年12月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所は、押収物について公判で証拠調べを行っていない場合であっても、刑法19条に基づき当該物件を没収することが可能であり、証拠調べの範囲は事実審の裁量に委ねられる。 第1 事案の概要:被告人AおよびBの刑事事件において、原審は押収された日本刀を犯罪の供用物として没収(刑法19条1項2号)の言い渡し…
事件番号: 昭和24(れ)3071 / 裁判年月日: 昭和25年2月23日 / 結論: 棄却
しかし銃砲等所持禁止令はその第二條後段において、「その所持する鉄砲等は裁判により没收する場合を除いては何人が所有していても行政の處分でこれを没收する」と規定しているに過ぎないのであつて、所論のように裁判によつて没收し得る場合には裁判上必ず没收すべき旨すなわち裁判上の没收義務を定めているものではない。