被告人らの刀劍所持は強盜の犯行の前後にわたるものであつて、強盜の手段として所持したのではなく、かつ刀劍の所持と強盜行爲との間に通常手段結果の關係があるというわけではないのであるから、原審が本件に刑法第五四條を適用せずして第四五條を適用したのは適法である。
刀劍所持と強盜行爲とは索連犯か
刑法45條,刑法54條,刑法236條,銃砲等所持禁止令1條3號
判旨
強盗の実行に際し、財物の占有者そのものではないが、侵入を阻止し、あるいは急を報ずべき地位にある者を脅迫してその抵抗を封じた場合、その行為は当該財物に対する強盗罪を構成する。
問題の所在(論点)
1. 目的物の占有者(B)ではない者(C)に対する脅迫をもって、Bに対する強盗罪が成立するか。2. 犯行に供した刀剣の所持罪と強盗罪は牽連犯(刑法54条1項後段)となるか。
規範
強盗罪(刑法236条1項)における暴行・脅迫の相手方は、必ずしも目的物の占有者本人であることを要しない。占有者以外の者であっても、盗賊の侵入に気付いた場合にこれを妨げ、あるいは占有者に急を報ずべき位置にある者であれば、その抵抗を封じ障害を除く行為は、強盗罪の暴行・脅迫に該当する。
重要事実
被告人らは、B方から金品を奪う目的で同宅に赴いたが、Bの不在中、母屋から二間ほどしか離れていない附属建物に住んでいたCに対し、短剣を示すなどして脅迫を加えた。Cは正確な意味でのBの雇人ではなかったが、事実上B方の異変を察知し、妨害や通報を行い得る立場にあった。被告人らはCの抵抗を封じた上で、B方の金品を奪取した。また、被告人らは犯行前後にわたり短剣を不法に所持していた。
事件番号: 昭和23(れ)913 / 裁判年月日: 昭和23年12月16日 / 結論: 棄却
被告人等を少年法による保護處分その他實刑を科せざる處分を受けしめるのが相當であるか否か等はすべて事實審たる原裁判所の裁量權にのみ屬するところである。
あてはめ
1. 被告人らは当初からB方を狙っており、Cに対する脅迫はB方の金品奪取の障害を除くために行われたものである。Cが住む附属建物は母屋に近接しており、Cは侵入を妨げ急を報ずべき位置にいたといえるため、Cへの脅迫はB方に対する強盗の手段として自然なものと解される。 2. 刀剣の所持は犯行の前後にわたる継続的なものであり、強盗の手段としてのみ所持されたわけではない。また、刀剣所持と強盗が通常手段・結果の関係にあるともいえない。したがって、両罪は併合罪(刑法45条)となる。
結論
1. Cに対する脅迫をもってB方に対する強盗罪が成立する。 2. 刀剣所持罪と強盗罪は併合罪となり、牽連犯とはならない。
実務上の射程
強盗罪の暴行・脅迫の相手方が占有者本人でない場合の処理を示す。看守者や家族、近隣の協力者など、事実上占有を補助し得る立場にある者に対する暴行・脅迫が強盗罪を構成し得る範囲を画定する際の参考となる。また、所持罪と本罪の罪数関係についても実務上重要である。
事件番号: 昭和24(れ)2210 / 裁判年月日: 昭和25年1月19日 / 結論: 棄却
強盜の共謀をした者はたとい自ら暴行脅迫強取等の強盜等行爲を分擔しなくても、他の共謀者がした右強盜等行爲によつて自己の犯罪遂行の意志を實現したものと認められる以上なお共同正犯としての罪責を免れる事のできないものであることは常裁判決屡次の判決に示すとおりであるからたとい被告人において右強盜行爲を分擔しなかつたとしても判示の…
事件番号: 昭和23(れ)425 / 裁判年月日: 昭和23年7月22日 / 結論: 棄却
一 日本刀を携帯して強盗することを共謀し、その見張をした者は、その日本刀を嘗て手にしたことがなくても、銃砲等所持禁止令違反の共同正犯である。 二 數人が強盜の實行を共謀し、そのうち一人が屋外の見張りをしただけであつても、他の共犯者の實行行爲を介して自己の犯罪敢行の意思を實現したものと認められる場合には、なお強盜の共同正…
事件番号: 昭和23(れ)1429 / 裁判年月日: 昭和23年12月24日 / 結論: 棄却
一 同一被告人に對し同時に繋屬した數個の被告事件を各別に審判するか又は併合して審判するかは、審理の便宜上裁判所が自由に決し得る職權に屬することであつて、必ずしも併合して審判することを要するものでないこと屡々判例の示す通りである。 二 住居侵入罪と強盜罪とは、その被害法益及び犯罪の構成要件を異にし、住居侵入の行爲は強盜罪…
事件番号: 昭和23(れ)1263 / 裁判年月日: 昭和24年2月15日 / 結論: 棄却
刑訴應急措置法第一二條第一項本文については、證人其他の者(被告人を除く)の供述を録取した書類又は之に代るべき書類は公判期日において被告人に對し供述者又は作成者を訊問する權利のあることを告知して其訊問の請求をするかどうかを確かめることは望ましい事ではあるが之をしなかつたからとて前記法條に違反するものでないことは當裁判所の…