昭和二三年法律第一〇七號に依る改正後の關税法第七六條第一項違反の罪を判示するにはその無免許輸出若しくは輸入に係る貨物の原價を確定判示しなければならない。
昭和二三年法律第一〇七號に依る改正後の關税法第七六條第一項違反罪の判示方
昭和23年法律107號に依る改正後の關税法76條1項,舊刑訴法360條1項
判旨
罰金刑の上限を目的物の価格の倍数によって定める規定を適用する場合、裁判所は当該目的物の価格を具体的に確定しなければならず、これを怠ることは理由不備または審理不尽の違法にあたる。
問題の所在(論点)
罰金額の算定根拠となる目的物の価格が法定されている場合において、当該価格を確定せずに判決を下すことは、理由不備または審理不尽の違法にあたるか。
規範
刑罰規定において、罰金額の多寡が「犯罪に係る貨物の原価」や「目的物の価額」といった客観的な数値に基づいて決定される場合(倍数罰則規定)、裁判所はその適用にあたって、当該価格を具体的に確定すべき義務を負う。
重要事実
被告人らは、昭和23年9月30日に無免許輸出(関税法違反および貿易等臨時措置令違反)を行ったとして起訴された。当時の関税法76条1項但書および貿易等臨時措置令4条1項但書は、目的物の原価または価額の3倍が法定の罰金額を超えるときは、その3倍以下を罰金とする旨を定めていた。しかし、原審はこれら目的物の具体的な原価または価額を確定しないまま、被告人らを有罪とした。
事件番号: 昭和24新(れ)458 / 裁判年月日: 昭和25年5月30日 / 結論: 棄却
一 昭和二一年勅令第二七七號關税法の罰則等の特例に關する件第一條第二項に所謂「輸出しようとした者」とは、目的の物品を、日本領土外に仕向けられた船舶に積載する行爲の實行には達しなくても、輸出のための單なる準備行爲の範圍を超えて、右積載行爲に接着近接した手段行爲の遂行に入つた者を指稱することは當裁判所の判例の示すところであ…
あてはめ
本件各罰則規定によれば、罰金額は目的物の価格(原価または価額)に連動して変動する仕組みとなっている。したがって、本文(定額の罰金上限)を適用すべきか、但書(価格の3倍を上限とする規定)を適用すべきかを判断するためには、前提として目的物の価格がいくらであるかを証拠に基づき特定する必要がある。本件原判決は、この価格を確定していないため、適用すべき法条の選択を誤る可能性を排除できず、審理を尽くしたものとはいえない。
結論
被告人らの無免許輸出等の目的物について価格を確定しなかった原判決には、理由不備または審理不尽の違法がある。したがって、原判決を破棄し、差し戻すべきである。
実務上の射程
経済事犯や密輸事件等の倍数罰則が適用される場面において、公訴事実や判決における「価額」の特定の重要性を示すものである。実務上は、価格の算定根拠や鑑定の有無が重要な争点となることを示唆している。
事件番号: 昭和26(あ)3457 / 裁判年月日: 昭和27年3月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法違反を主張する上告趣旨であっても、その実質が単なる訴訟法違反の主張に過ぎない場合には、刑事訴訟法405条に定める適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が憲法違反を理由として上告を申し立てた。しかし、その具体的な主張内容は、憲法問題というよりは刑事訴訟法等の訴訟手続の不備を指摘…
事件番号: 昭和25(あ)2864 / 裁判年月日: 昭和27年8月29日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】関税法違反と貿易等臨時措置令違反、およびそれらの幇助行為が、いずれも一個の行為で数個の罪名に触れる場合には、刑法54条1項前段により観念的競合として処理すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、昭和24年6月、正規の引揚船ではない発動機船に乗船して鹿児島県から佐賀県へ上陸し、不法に入国した。その…
事件番号: 昭和26(あ)2478 / 裁判年月日: 昭和27年11月14日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】不承認での輸出入行為と無免許での輸出入行為が同時に行われた場合、それらは一個の行為で数個の罪名に触れるものとして、刑法54条1項前段の観念的競合の関係に立つ。 第1 事案の概要:被告人は、機帆船を用いて黒糖や石油、粉乳等の貨物を、主務大臣の承認を得ることなく、かつ税関長の免許を受けることなく輸出入…
事件番号: 昭和26(あ)4097 / 裁判年月日: 昭和27年10月10日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人間に起訴・不起訴や没収の有無の差があっても、それが裁判所の恣意的な差別待遇でない限り、憲法14条の法の下の平等に反しない。また、憲法37条(公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利)は、個別の具体的事件における処理の適否を直接対象とするものではない。 第1 事案の概要:被告人Aら複数が関税法…