一 檢事聽取書にその作成場所が記載されていなくても違法ではない。 二 聽取書を作成した檢事が、舊刑訴法第七四條により供述者の氏名を代書する場合にも、立會人のあることを必要としない。
一 作成場所の記載を欠く檢事聽取書の適否 二 檢事が聽取書に供述者の氏名を代書する場合と立會人の要否
舊刑訴法71條,舊刑訴法74條
判旨
勾留状の記載要件に瑕疵があり、当該勾留の適否が問題となる場合であっても、別途の救済方法によるべきであって、それにより直ちに公訴が無効となることはない。また、検事聴取書において作成場所の記載は必須の要件ではなく、立会人の不在も書類の有効性を妨げない。
問題の所在(論点)
勾留状の記載要件に瑕疵がある場合、その不適法な勾留に続く公訴提起は無効となるか。また、作成場所や立会人の記載を欠く検事聴取書に証拠能力が認められるか。
規範
勾留状の記載要件の不備等、勾留手続の適否に瑕疵がある場合であっても、その救済は準抗告や人身保護法等の別途の手続によって図られるべきである。刑事訴訟手続の法的安定性の観点から、勾留手続の違法は、それが公訴提起そのものを無効とする原因にはならない。また、検事聴取書等の公文書において、作成場所の明記や立会人の関与は、法律上特段の規定がない限り作成の有効要件ではない。
重要事実
被告人の犯罪事実に関し、検事聴取書(Aに対するもの)が証拠として採用された。弁護人は、①当該聴取書には作成年月日や作成場所の記載がなく、立会人の署名等もないため証拠能力を欠くこと、および②本件の勾留状の記載要件に瑕疵があり、不適法な勾留に基づきなされた本件公訴は無効であること、を主張して上告した。なお、聴取書には前文に事情聴取の日の記載があり、末尾に読み聞かせた旨の記載があった。
あてはめ
勾留の適否については、刑事訴訟法上の準抗告(旧法457条2項)や人身保護法等、別途用意された救済方法によるべきである。したがって、勾留状の不備を理由に公訴を無効とすることはできない。次に、検事聴取書の有効性については、前文に「昭和23年10月14日本職に対し陳述した」旨の記載があることから作成年月日は明らかである。また、旧法71条等に照らしても作成場所は記載要件ではなく、旧法74条も立会人を要求していない。したがって、本件聴取書の形式に瑕疵はないといえる。
結論
勾留手続の瑕疵は公訴の効力に影響を及ぼさず、公訴は有効である。また、作成場所や立会人の欠如は検事聴取書の成立を妨げない。本件上告は棄却される。
実務上の射程
捜査段階の違法(不当な勾留等)が公訴提起の無効(公訴棄却)をもたらすかという点について、原則として否定的な立場を示す。実務上は「重大な違法」があり、かつ公訴提起自体が公序に反する場合等に限定される「公訴権濫用論」の文脈で、前提となる原則的判断を示す際に参照される。手続違法と公訴提起の効力の切り離しを明言した判例である。
事件番号: 昭和25(あ)1203 / 裁判年月日: 昭和26年6月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が公判期日に召喚されながら正当な理由なく出頭しない場合において、弁護人が出頭しているときは、一定の要件下で被告人の欠席のまま審理を進めることが許容される。 第1 事案の概要:被告人が公判期日に召喚を受けたにもかかわらず、正当な理由がないのに出頭しなかった。これに対し、原審(控訴審)は、弁護人…